2008年 08月 08日
鳥の巣
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2008年8月8日8時8分(現地時間) オリンピック開催されましたね。
中国の長い歴史を感じさせるスケールの大きい開会式でした。活版印刷のインスタレーションは人が動かしてたんですね。多くの演者を使った鳥が舞い降りるシーンも中国ならではのように思います。欧州ではこんな大変なことできないでしょうね。
さて開会式に負けず劣らず印象的なオリンピックのメインスタジアム(鳥の巣)は、ヘルツォーク&ド・ムーロンというスイスの建築家が手がけたものです。今、このスタジアムが完成するまでのドキュメンタリー映画が上映されていますが、私も先日観てきました。
非常に奇抜な外観ですが、形状設計に携わった菊池宏氏も「十分クレージー。担当者はきっと大変だろうね」と感想をもらしたといいます。
さて、なぜこのような形が生まれたのか?
映画の中では様々な視点が紹介されているのですが、中国の事業主/施主は自らの名誉のため、より”奇抜なカタチ”を求めるといいます。また風水を重視する国でもあります。鳥の巣は「不死鳥を招く」として非常におめでたいカタチのようです。ヘルツォークは中国の人件費の安さもこの建築を実現させた大きな要因だといいます。自国(スイス)では決してこの費用、納期、そしてこのカタチは受けいられなかった。そして、ヘルツォーク自身の建築家としての姿勢も、より多くの人に受けいられるためには、建築は美しくあるべきだとしています。このメインスタジアムが美しいかどうかは意見が分かれるところだと思いますが、公共施設はこうした視点は踏まえないといけないのでしょうね。
さて、どうしてもこのカタチによる”モニュメンタルな側面”が取り上げられがちですが、映画の中でヘルツォーク&ド・ムーロンは、あくまでこれは中国に住む市民の方のためのものであることを繰り返します。決してオリンピックの舞台にあわせたものではない、そして中国の発展を象徴するものでもないと。このカタチを受け入れる素地が中国にあったとはいえ、自身の創造欲求から生み出したのではなく、中国の歴史、中国の市民と街の関係などから導き出したカタチだとしています。オリンピックのメイン会場としての用途より、むしろオリンピック終了後に市民にどのように使ってもらうかを主たるキーイメージにして計画しています。この建築はオリンピックが終わってからが、真価が問われるものなのですね。
それにしても建築家冥利に尽きる仕事です。これほど世界に発信される建築はないわけですからね。ヘルツォークも建築家としての試金石になる建築だとコメントしています。
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中国の長い歴史を感じさせるスケールの大きい開会式でした。活版印刷のインスタレーションは人が動かしてたんですね。多くの演者を使った鳥が舞い降りるシーンも中国ならではのように思います。欧州ではこんな大変なことできないでしょうね。
さて開会式に負けず劣らず印象的なオリンピックのメインスタジアム(鳥の巣)は、ヘルツォーク&ド・ムーロンというスイスの建築家が手がけたものです。今、このスタジアムが完成するまでのドキュメンタリー映画が上映されていますが、私も先日観てきました。
非常に奇抜な外観ですが、形状設計に携わった菊池宏氏も「十分クレージー。担当者はきっと大変だろうね」と感想をもらしたといいます。
さて、なぜこのような形が生まれたのか?
映画の中では様々な視点が紹介されているのですが、中国の事業主/施主は自らの名誉のため、より”奇抜なカタチ”を求めるといいます。また風水を重視する国でもあります。鳥の巣は「不死鳥を招く」として非常におめでたいカタチのようです。ヘルツォークは中国の人件費の安さもこの建築を実現させた大きな要因だといいます。自国(スイス)では決してこの費用、納期、そしてこのカタチは受けいられなかった。そして、ヘルツォーク自身の建築家としての姿勢も、より多くの人に受けいられるためには、建築は美しくあるべきだとしています。このメインスタジアムが美しいかどうかは意見が分かれるところだと思いますが、公共施設はこうした視点は踏まえないといけないのでしょうね。
さて、どうしてもこのカタチによる”モニュメンタルな側面”が取り上げられがちですが、映画の中でヘルツォーク&ド・ムーロンは、あくまでこれは中国に住む市民の方のためのものであることを繰り返します。決してオリンピックの舞台にあわせたものではない、そして中国の発展を象徴するものでもないと。このカタチを受け入れる素地が中国にあったとはいえ、自身の創造欲求から生み出したのではなく、中国の歴史、中国の市民と街の関係などから導き出したカタチだとしています。オリンピックのメイン会場としての用途より、むしろオリンピック終了後に市民にどのように使ってもらうかを主たるキーイメージにして計画しています。この建築はオリンピックが終わってからが、真価が問われるものなのですね。
それにしても建築家冥利に尽きる仕事です。これほど世界に発信される建築はないわけですからね。ヘルツォークも建築家としての試金石になる建築だとコメントしています。
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by isoamu
| 2008-08-08 22:52
| 建築