2008年 08月 07日
建築は誰のものか
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出典元:青木淳「Mのためのスタディ模型」2007-08 撮影:木奥恵三
「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」展 (数日前に終了)
依頼された建築に対する自身の試行錯誤を、100点あまりのモデルを通じて表現している。最初は”塔”であるべきとの思いから始まり、”有機的”な形から”無機質”な造形まで様々な可能性を検討していく。青木自身の葛藤の様子がリアルに伝わってきて、展示そのものは素晴らしいものだった。
しかし、各モデルに青木自身のコメントが寄せられているのだが ”施主が主語になっていない” のが気になった。施主の要望は断片的に語られる程度で、試行錯誤はあくまで青木自身の、まるで彫刻を創るような感覚が主語で展開されている。最終的に収斂した造形(×建築)も、青木自身の自己完結的な結論に至っており、果たして”施主は幸せなのか”と心配になってしまう。いやいや、そもそも施主がアーティストとしてのアウトプットを求めているのかもしれないが。
建築は”施主のもの”であり、更に環境の一構成要素と考えるのであれば”そこに住まう私達自身のもの”ともいえる。決して、それを作り出す建築家のものではない。作り手のマスタベーションでないことを祈るばかりだ。
『「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」展』
会場: 東京国立近代美術館
スケジュール: 2008年06月03日 ~ 2008年08月03日
住所: 〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
電話: 03-5777-8600(ハローダイヤル



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by isoamu
| 2008-08-07 12:29
| 建築