観察力
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ザ・リッツカールトンといえば、質の高い顧客サービスで有名だ。お客が忘れた携帯電話を、スタッフが新幹線(しかも終電)で届けにいったとか。(ただ、それは”携帯電話”ではなく”ボタン”という噂もある) 高野氏の著書「サービスを超える瞬間」も重版を重ねているようだ。
講演のテーマは「顧客満足度の向上」 幾つかのエピソードを交えて顧客満足について説明をされた。
ある日、若夫婦の夫が”離婚したい”といいだした。朝、妻から「いってらっしゃい」の一言がないのがその理由だ。はたからみれば些細なことだが、本人はいたって真剣。そのたった一言を3年間待ち続けたが、ついに我慢しきれず決断したという。
そこで、奥さんに「なぜ”いってらっしゃい”と言ってあげなかったの」と聞くと、「だって”いってきます”って言ってくれなかったから」という。なんとも苦笑してしまうエピソードだが、何をいいた
いかというと、そんな些細なことで離婚騒動までになってしまうということ。顧客満足度もこれににて、本当に些細なことで地に落ちるものだという。
次は、こんなエピソードを紹介する。
受付のスタッフに”おはよう”と毎日声をかけてくれる顧客がいた。しかし、声が小さかったためか、スタッフは全く気付かず、結局、顧客の滞在期間中、一度も返事を返すことをしなかった。そして、これが大変なクレームになったという。スタッフにとって、朝はチェックアウトなどの業務に忙殺されている時間帯だ。そして本当に声が小さくて、聞こえなかったのも無理もないことだったのかもしれない。しかし、そんな理由は全く通用しない。これもまた些細なことだが顧客満足度の向上のためには十二分に気を配らないといけない。
さて、こうしたことに対処するには、どうしたらいいのか。
”マニュアル”と、そしてそれがスタッフの業務に確実に反映される”仕組み”が必要だという。”マニュアル”は日々あがってくるクレームを元に制作する。”仕組み”は、毎朝必ずそのマニュアルの一部を声を出して復唱させるという。単純なことだが、繰り返すことで確実にスタッフに定着するという。”仕組み”については、他にも様々紹介されていた。是非、氏の著書をご参考に。
ただ、氏の著書のタイトルでもある”サービスを超える”ためには、もう一つ ”観察力” が必要だとしている。”観察力”があってこそ、顧客の何気ない仕草から、言葉にならない潜在的なニーズを読み取みとれる。そうしてようやく、他社に先んじたサービスを提供できるという。
では、この”観察力”はどのようにして習得できるのか? 日々あがってくる顧客クレームを丁寧に読み解き、頭の中に蓄積していくことが肝要だという。結局のところ、全くの”無”の状態から気づきを得るのは困難なのだろう。数多くのパターンが頭の中に入っていてこそ、些細なきっかけ(顧客の行動)から想像を膨らませられるということだ。
私が、ユーザビリティ評価の技術導入をしていた頃は、半年で100人以上のユーザーを観察していたと思う。確かに、自分の中に様々なユーザーの行動パターンが形成され、それをベースにユーザーが戸惑うであろう操作が何であるか想像できていたように思う。
さて、我々デザイナーはユーザーをちゃんと観察しているだろうか?



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