詩的な作品たち 石黒猛さん
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先日開催された「石黒猛:形をなさない発明から詩的な作品までー触感的実験 in 東京」 石黒さんの作品は以前にもご紹介頂いたり、メディアでも拝見していたのだが、これだけまとめて観られたのは初めてのこと。そして、改めて石黒さんの世界に魅了されてしまった。
講演が始まって早々にデモされた「輪になる煙」(下左写真) これだけで、会場は来場者の笑顔で満たされてしまう。お香の素材で作られた建物のミニチュア(下右写真) 燃えて灰になっていくごとに、形が凝縮されていく様子がわかる。”燃える”ことによる物質の変化を経てようやく作品は完成する。そして燃えきった後の灰の崩れやすい脆さも、その儚さゆえの美しさを感じさせる。非常に印象深かった作品だ。

風船が空中に留まる(下写真)。ありそうでなかった、そこに驚きがあるはずだと着目した作品。実体を目の前にすると、”頭でわかったつもり”だったことを自覚させられる。言葉では絶対に伝えきれないものが実体にはある、実体になってようやくわかる。風船一つが会場をまるで無重力空間のような異次元にトランスさせていた。

本を開くと小鳥がさえずる(下写真) 写真ではわからないが、小さな小鳥が本当に木の周りを飛んでいる。おとぎ話のような幻想的な世界を感じさせてくれる。

こちらも立体絵本だが、開けるとそのままスタンドになる。これは『Book Of Light』という商品名で販売されている。微笑ましい使用シーンを想起させられる作品だ。

私も関わらせて頂いたモノも紹介された。昨年の100%Designで展示した「三色の溶液」という作品。作品写真はコチラ
会場は終始、笑顔に溢れていました。私の感想も『楽しかった~っ!』の一言。『え~ 何それどうなってるの?』というように常に興味をそそられる作品ばかりで、子供の頃の何にでも好奇心を持ち、そして感動していた無垢な心を思い出しました。
それにしても、この様な作品がどのように生み出されるのか?
一緒に仕事をさせていただいた感想からすると、いかに偶発的な事象を大切にしているかがわかります。最初に答えをもっていない。いや、持とうとしていないといった方が正しい。材料をいろいろ試すうちに、偶発的に出てきた自分自身の驚きに、身をゆだねている。石黒さんの事務所は、もうそのまま工房なのだが、常に手を動かせる環境に自らをおいているように思う。
あとはやはり、お人柄を感じずにはいられない。とっても朗らかに笑われる方で、こちらまで楽しくなってくる。そして一見些細なことでも『素晴らしい!』と感動し、常に自分自身の好奇心の触覚を最大限鋭敏にされている。こうしたお人柄が、作品全体の温かさ、純粋さに繋がっているように思う。
インハウスデザイナーが忘れてかけているデザイナーとしての必須の要件を突きつけられているように思う。さぁ 手を動かし、好奇心に身を委ねよう。
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