デザイン部門によるブランディング
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各社ミラノサローネでの出展目的は多様だったが、「ブランド訴求」という点は共通項としてあった。そこで私は「こうした活動は、宣伝部、広報部などのミッションとして捉えた方が、組織上は一般的ではないか?」という質問をした。
C社はデザインの見本市だからデザインに明るいデザイン部門が主導するのが適切と判断。T社は手を上げた部門が担当すればいい。それがたまたまデザイン部門だった。Y社は、デザイン活動を紹介するWeb制作、また自社がスポンサードするオープンゴルフのアートディレクションなど、ブランディングに関する仕事を広げているが、サローネ展示もその文脈の中で位置づけられたという。
デザイナーであれば、少なからずミラノサローネには興味は持っているはずだ。宣伝、広報より触手が伸びるのは当然かもしれない。しかし、T社は、今年から主管が営業部門になったという。販促活動として定義されたということだろうが、今後他社においてもこうした再定義は行われていくだろう。
ところで、ミラノサローネはメディアに扇動される形で”家具見本市”という本来の目的から離れ”巨大デザインイベント”へと変貌しているわけだが、某家具メーカーのコメントがそれを端的に表していた。
「同じ日本人として、日本メーカーがミラノサローネに展示するのは好ましい。しかし本来の目的である”家具展示”に対する注目度に影響がないか危惧している」 「家具業界は年商50億程度の会社が殆ど。その中で”兆”を越える年商のメーカーがこぞって進出することは、必ずしもいい気分ではない」 「昨今は、ミラノ市内のホテル予約が全く取れなくなるなど、街のキャパシティを越えてしまっている。今後は”家具見本市”(ミラノサローネ)とデザイン展(フォーリサローネ)を切り離すべきではという議論が上がっている」
デザイン部門が主導するミラノサローネ展示が相次いでいるが、社内外において、改めてその活動の位置づけが問われることになるだろう。しかし逆にこれを好機と捉え、こうした活動をデザイン部門の機能として帰納法的に定義してもいいのではないか。従来より対応している製品デザインもブランディング活動の一端として捉え、その文脈上に、こうした広報活動を位置づける。デザイン部門の新たな機能として定着させても面白いと思う。
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