オペラと映画
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ウィーンでは「ニーベルングの指輪」、プラハでは「蝶々婦人」を鑑賞。今思えば、オペラの中でも、対照的且つ特徴的な作品。予約してくれた妻に感謝。贅沢な”生”オーケストラと”生”芝居で物語は語られ、そして来場者は正装して楽しむ。会場の高貴な雰囲気も相まって、大変高尚で最高のエンターテインメントでした。(講演途中の休憩時間も、正装した紳士淑女に囲まれ豪華で特別なパーティーに参加している気分にさせられます。)

「ニーベルングの指輪」は、ワーグナーが25年以上もの歳月をかけて作られた大作。ありとあらゆるオペラの中で、最も巨大な作品のようです。全て上演するのに最低でも4夜必要で、1夜あたり3~7時間かかります。私が鑑賞したのは3夜目のものですが17:00~21:30(途中30分の休憩が2回)の4.5時間ほどかかりました。
物語には「所有する者に最高の権力が備わる”指輪”」が登場するなど、映画「ロード・オブ・ザ・リング」に通じるものを感じます。また人間の国、以外に神々の国、巨人の国など様々な種族の国が存在するなど、ロードの他、ナルニア国物語なども想起させられます。
「映画音楽の作り方全般が、ワーグナーをモデルにしていると言えるのです。「愛の場面ではうねるような甘いメロディーを弦楽器で、戦闘場面では勇ましい金管のファンファーレ、不気味な場面では不協和音を、クライマックスでは怒涛のようなオーケストラの響きの洪水」-こうした映画音楽の基本パターンが、ワーグナーの楽劇を下敷きにしているのです」
出典:ニーベルングの指輪<下> 里中満智子著
「『地獄の黙示録』ではワルキューレの騎行の音楽が使われました。『ゴットファーザー』のストーリーには、目を凝らしてみると『ニーベルングの指輪』の物語が重なり合います。『ゴットファーザー パート3』でのアルパチーノ演じるマフィアのボスのキャラクターはヴォータンのそれと類似しています」
出典:ニーベルングの指輪<下> 里中満智子著
今の映画に多くの影響を与えたと考えると、また違った楽しみ方が出来るのかもしれません。
余談ですが「蝶々婦人」の衣装は是非一考頂きたいものです。浴衣っぽい着物、ちょんまげも、どこかバランスがおかしい。江戸自体の衣装としては、どうも違和感があるなど、時代設定が甘いと、嘘っぽくって物語に没頭できない。これもまた質の悪い”映画”を観たときの感覚に似ています。




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