2008年 05月 11日
フンデルト・ヴァッサー 環境への配慮 「リユース編」
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フンデルト・ヴァッサーは、自然と調和し、環境に配慮した建築に取り組んできた。熱で曲がった定規を持って「The Straight Line is Godless.」といったメッセージを伝えているポートレート(上写真)は、ヴァッサーの思想を端的に表しているのではないだろうか。以下、彼の思想が展開された事例を紹介する。
彼の建築には、至る所に廃材と思しきものを”リユース”している。下の写真はどこから集めてきたのか様々な形のガラスブロックを組み合わせたもの。
下の写真は、空き瓶を寄せ集めたオブジェ?
この柵には、これまたどこからか持ってきたのであろう様々な形の”柵”が組み合わせている。(下写真)
また、様々な廃材がアクセントとして溶接されている。(下写真)
隣接するレストランに設置された椅子は、まさしくリサイクル。形の違う椅子を接合し”長椅子”にしたもの(上写真)。ミシン台をそのままテーブルにしたもの(中写真) 形が違う椅子も、それが最初からそう意図されたように並べられている(下写真)
床に敷き詰められたタイルも、無造作に廃材が使われている(下写真)
トイレの鏡も、あたかもこういうデザインの如く小さなピースで構成されている。(下写真) 意図的にデザインされた、一つのスタイルとも思えてくる。
フンデルト・ヴァッサーは、これらを職人達の自由意志に任して作らせたという。こうした不規則な要素も歓迎して、自らの建築に取り込んだ。そして、このプロセスが、職人の人間性の回復に繋がるものとした。
「プロジェクトに加わったレンガ職人、舗装工、仕上げ職人、左官などは、私にとって驚きの発見である。というのは、彼らはただちに自由な創造性を見せるからだ。人間の仕事におけ真の喜びとは、機械の束縛から、組み立てラインの恐怖から、プレハブ建材の独裁から、直線により侵犯や、いわゆる合理的な格子から、解放されることである。この家で不規則にタイルを敷く舗装工から、「やっと胃潰瘍が治った」という場合、それは、規則的にタイルを敷く作業がどれほど単純で有害かを示す衝撃的な言葉である。」
出典:フンデルトヴァッサー 建築
ル・コルビジェによる、鉄筋コンクリートによる無機質で合理的な建築思想「ドミノシステム」(1914)が生まれて約70年後に、この建築は作られた。
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by isoamu
| 2008-05-11 11:19
| オーストリア