コミュニケーションツールとしてのアート
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ホワイトシップの長谷部社長に誘われ、ビジョンワークショップに参加してきた。都市・オフィス空間を視覚的に特色づける創造的事例としてアートが採用されることは数多くあるが、これはアートによる効果をより実際的なツールとして組み込まれた好例ではないだろうか。
このワークショップは、大きく3つのプログラムで構成されている。1つ目は「鑑賞ワーク」。参加者全員が、1つの絵に対して感じた事をポストイットに書き出し共有する。(下写真)

私は極めて具象的に”水玉”をイメージしたのだが、宇宙、生命、助け合い、豊かさなど人によって様々な感じ方をしていた。中には”魂”を想起された方もいたが、最近他界された親しい友人のことが影響したのだろうとご本人は話していた。主催者側から”鑑賞”というのは「作品を鑑にして自分を知るプロセス」だという説明があったが、まさしく、その時の心情によって感じ方も大きく変わるのだろう。

次は「描くワーク」。解釈に幅があるキーワード(今回は「流浪」)からイメージを膨らませ、パステルで絵を描く。20cm四方の色紙に書くのだが、さほど時間もかからないだろうと高をくくっていた。しかし、ほぼ1時間あまりあっという間に時間が過ぎた。

最後は描いた絵を全員分並べての「鑑賞ワーク」。それぞれの絵に対して感じたことを、またポストイットに描き、絵の前に貼り出していく。絵は、自分の深層心理を現すと聞いたことがあるが、なるほど私の絵を見た他人からのキーワードは、まさしく今の自分を表現していたように思う。「向かうところは一つ」「向かっていく」「吸い込まれる」など、私の現在の仕事に対する心情にぴったりのものだった。(カミさんによれば、最近私は「目標が達成できるか」「課題設定は適切か」という寝言をよく言っていたそうだ(-_-;) また、それぞれの作者から絵の意図を聞くと、それぞれの状況が非常によく現れていて興味深い。中には既に数回参加し、自分の絵の変化を楽しむ人もいるそうだ。

こうしたアートを通じての他者とのコミュニケーションは、自分の内的なものとのコミュニケーションでもある。抽象的であることが、反って解釈の幅を生み、観る人それぞれの心情に影響された言葉が発せられる。そして、自分が発した言葉・絵で、自分自身がハッとさせられる。こうしたプロセスが、このワークショップの本質であろう。
因みにエイブル・アート・ジャパンが主催する視覚障がい者と一緒に絵を鑑賞するというMARという活動も、この本質を違った形で提供している。視覚障がい者に絵を説明する行為を通じて、自分自身が気づかされる。面白いのが、表向きにはボランティア活動でありながら、本質的には自分自身とのコミュニケーションであるという点だ。
ホワイトシップでは、定期的にこのワークショップを開催しているという。(詳細はコチラ) また、企業向けプログラムもあると聞く。実際に企業で実施された方のお話を伺うと、同僚の普段は感じることが出来ない新たな側面が現れコミュニケーションの良化に繋がるなどの効果があるそうだ。
興味を持たれた方、是非一度体験してみてはどうだろう。私も、また参加したいと思っています。
関連サイト
ホワイトシップ
・White Ship
・アートは人と人を繋ぐコミュニケーションツール
・白船社長のアートコンセルジュブログ
エイブル・アート・ジャパン
・発達障害のある子どもとアート活動
・アートを仕事にする社会起業フォーラム(障害のある人の新しい働き方)
・エイブルアート・カンパニー
障害のある人のアートを、デザインを通して社会に発信するための組織


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