UD楽
|

実際の現場でユニバーサルデザイン(以下UD)の普及啓発に取り組んでいた著者が、現在のUDに警鐘を鳴らす。
単なる問題解決では駄目。使い難くとも、美しければ使い易いと感じる時もある。段差は全ての環境において否定されるものではない。部屋の段差が、子供の環境に対する順応性向上(少々の段差でもつまづくことなく歩ける)に繋がっているという事実もある。車椅子、ベビーカーにとって不評な段差ブロックも、若者がケータイをしながら歩くための目印として役に立つなど思わぬ使い方を誘発するケースもある。
著者はUDを”手法”としてではなく、目指すべき”社会”だと捉えなおしている。デザインのボトムアップとして”手法”は必要ではあるが、その”手法”を使ったからといって、それが最善の解に繋がるとは限らない。UDを目指すべき社会と捉えれば、展開されたデザインが本当に適切な効果をあげているかどうかに目がいくはずだ。
おもしろい事に、その目指すべき姿として江戸時代における様々な道具、また生活の仕方を紹介している。鎖国政策の中、自給自足を強いられた江戸時代は、環境にやさしく、他国に類を見ない独自の文化が育まれた。ここに今後のあるべき日本のUDをなぞらえるのは、極めて妥当な考え方であろう。
因みに著者である細山さんとは、2~3年前程から夫婦共々お世話になっている。人脈も広く、いろんな方と分け隔てなく”ユニバーサル”にお付き合いされる、まさしくUDを地で行かれている方。著書も、人柄か、誰にもでわかりやすいやさしい文体で、これまたUDを地で行っている。実際の現場を知っているからこそ、理念に終わらず、現実味が感じられる点もいい。これからUDを目指す学生さんなどオススメです。
・UD楽-ユニバーサルデザインがく:UDジャパン
・細山さんが主宰する「HosoyamaUD-Unit」
・細山さんのブログ「星とUDブログ」



応援のクリックを!
投稿一覧はコチラ