2008年 03月 23日
ホームレスとユニバーサルデザイン
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友人に誘って頂き、何度か参加したISL Unplugged。短めの講演を聴講した後、講師を交えてグループ毎にその講演内容についてトークセッションをするというもの。一方的に情報を受け入れるだけでなく、講演内容の深堀と阻却が多面的に出来て非常に面白い。また出版経験を持つ方など各方面で活躍されているメンバーも多く、いつもなかなかに刺激的なセッションになる。
随分前になってしまったが、先日「BIG ISSUE」のCOOである佐野さんの講演に参加してきた。BIG ISSUEはホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として1991年にイギリスではじまったもの。雇用機会の提供が主旨だが「本人が直接販売する」という事自体にも大きな意義がある。
路上での販売は、ともすれば「物乞い」と捉われることもあるだろう。こうした状況下で購入者を獲得するのは並大抵ではないが、それだけに買ってくれた時のうれしさは格別のようだ。そして、こうした自分で直接販売するというお客とのコミュニケーションは大変な生きがいに繋がるという。佐野さんは”ホーム”レスの本質は”ホープ”レスだという。そしてそれを生み出す主たる要因は「人との関わりの喪失」であると。「BIG ISSUE」は「人との関わり」を思い出すためのプロセスをも提供しているのである。
さて、講演後のトークセッションでは「なぜホームレスが生まれるのか?」というお題を与えられた。様々な要因が考えられるが、リストラなど本人にはコントロールし難い状況も多い。再就職すればとも考えるが、小さい頃に親に捨てられ(=頼る親戚さえ分からない)、自宅を持たない人間を雇用する企業は少ない。ホームレスから社会の落とし穴がみえてくる。
COOの佐野さんは、大変ユニークな思いを語られる。
「バリアフリーという言葉があるが、同じようにホームレスの社会復帰のバリアを取り除きたい。更にはユニバーサルデザインという考え方にまで思想を広げ、社会のあまねく全て人が幸せになれる社会を目指したい。ホームレスを救うこともユニバーサルデザインも根本の思想は同じはず」
しかし、いっそ社会主義にしなければ、そんなことはあり得ないという思いが頭をもたげる。そして思考停止に陥るが、世の事象は何らかの矛盾を抱えているものだ。どちらかを優先し、どちらかを犠牲にするという単純思考ではなく、こうした状況下でこそ新しいアイデアが生まれてくるものと考えたい。
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by isoamu
| 2008-03-23 23:30
| ユニバーサルデザイン