2008年 02月 09日
シームレスインターフェース
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先日行われた「2007年度IAUD活動報告会」で紹介された「シームレスインターフェース」
自動車の操作の中で”使い難い”とされる付帯機能(エアコン、オーディオなど)に着目し、なぜ”使い難い”と感じるかを、普段使い慣れている家電製品と操作法が異なるからだという仮設を立てた。
職業上、車の運転が必要な方を除き、私たちは日常の生活の中で”車”より”家電”に触れている時間の方が長い。とするならば、私たちは、自然に全ての機器が家電と同じような操作感を持つことを期待してしまうのではないか。例えば、車と家電は同じエアコン機能であるにも関わらず、家電は電源ONからスタートするが、車はエンジンONでエアコンが作動する。また家電は日本語表示が殆どだが、車は各国言語対応を嫌ってか、殆どが英語表記だったりする。こうしたことに違和感を感じるというわけだ。そして、ユーザー視点に立って考えるならば、家電、車に限らず全ての機器類がシームレスに同じような操作感を持つべきではないかというのが、「シームレスインターフェース」の意図する目標だ。
以前、私自身も「カメラ付携帯」の「撮影・再生の操作方法」が「デジカメ」に影響するのではと考え、各社の携帯電話の操作方法を調査したことがあった。携帯を操作する中で、携帯固有のメンタルモデルがユーザーに出来上がってしまうと考えると、圧倒的な普及率と使用時間の長さを誇る携帯の操作が、デファクトになると考えた。
参考:全世界年間売り上げ台数 (出典元は失念)
携帯電話 9億5,700万台
パソコン 2億900万台
音楽プレーヤー1億3,500万台
デジカメ 9,400万台
ゲーム機 2,600万台
面白い展開をしていたのがソニーの携帯。彼らは逆に「デジカメの操作方法」を「携帯電話に展開(撮影・再生機能のみ)」してデジカメライクな操作性を特徴としていた。
結果どうだったがというと、同じ撮影・再生機能のおいては圧倒的にデジカメの操作性が簡易で、携帯側に擦り寄る必要が全くなかった。数多くの機能をプアな処理で使わせる携帯は、鈍重で使いやすいものではなかった。一方、デジカメは撮影・再生機能のみのシンプルな構成のため、簡易で軽快な操作が可能になっていた。
さてシームレスインタフェースに話を戻そう。
このように、なぜ使い難いかの本質を探り、そこから課題を見出すアプローチは大変面白い。また車、家電など様々な業種のメーカーが集まる団体の活動として、自身の立ち位置を生かせるとても意義のある活動だと思う。使いやすさの取組みが業種を超えてどのような成果が出てくるのか今後が非常に楽しみである。
しかし、成果の定義で苦労しそうだ。ノウハウ共有の点では異なるメーカーが集まるこの枠組みは効果的だが、成果を製品への展開におくと実現は難しそうだ。そして当然それぞれのインターフェースはそれぞれの状況下で最適化すべきという視点もありうる。進め方の難しさという点でも、今後が楽しみである。
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by isoamu
| 2008-02-09 12:18
| ユニバーサルデザイン