長く残る製品のデザイン
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先日もクリエーターが集まるある食事会で「エビちゃんのピンクがいい。普段デジカメは使わないが、あのピンク色ならば欲しくなった」という女性がいたが、こうした”効果”を期待して企業は他社とは異なる新しいスタイルの創出に躍起になる。
量販店では、どの製品も自社の特徴をアピールしようと百花繚乱の如く、形、カラー、材質がひしめく。情報が多すぎて見る気が殺がれる面もあるが、量販店ではお馴染みの風景となっている。

それにしてもこうした製品たちは果たしてどれ程生き残っていくのか。一年、いや半年で姿を消すものも多いだろう。過当競争に入っているのは周知の通り、終わりのない消耗戦が続いている。

先日、おもしろい話を聞いた。MUJI製品がなぜMUJIたりえるのか?それは”直販の仕組み”によるところが大きいという。MUJI製品は量販店に置かれることがないから、他社との差別化を図る必要がない。MUJI全体のトーンとの整合性とモノとして”本質的な価値”(使いやすさ、便利さ、安さ)を追求する必要があるというのだ。だから、あのような製品が生まれてくる。MUJIのモノ作りの本質が”販売の仕組み”だったとは、まさしく目から鱗であった。
そしてMUJIには定番商品が多い。”モノとしての本質的な価値”を追求しているからこそ流行に流されず息の長い商品が生まれるのだろう。
ところでプロダクトデザイナーであれば誰しも「長く残る製品をデザインしてみたい」と思ったことがあるのではないだろうか。インハウスデザイナーの多くが、目先のトレンドに目が奪われ、競合他社との差別化創出に日々追われている中、「長く残る製品」を本当に生み出したいと思うのであれば、”売り方自体もデザイン”する必要があるのかもしれない。




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