2008年 01月 06日
アキッレ・カスティリオーニ と IDEO
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これは「アキッレ・カスティリオーニ 自由の探求としてのデザイン」(著者:多木陽介)に掲載されている「ガラス棚」であるが、本著では以下のように説明されている。
「がらくたばかりで一杯と言った背の高い(元々医療品用の)ガラス張りの戸棚に収められたオブジェたち」
「オブジェを一つ一つ集めながら、そうした物を観察し、一見なんでもないフォルムやそれを使う身振りの中にどれ程の知性が隠されているかを発見すること」
「各々の用途、機能にしたがって個々のオブジェ、道具が最終的にいかなる形態を持たされているのか、この機能とフォルムとの間の関係を読みとろうとする観察と研究」
「匿名デザインのオブジェをひとつひとつ集めながら、そうした物を観察し、一見なんでもないフォルムやそれを使う身振りのなかにどれほどの知性が隠されているかを発見することをデザイナーとしての努めの第一歩」
「各々の物や道具が生活におけるある必要に対してどのような解決法を提供しているのか、その知恵の度合い、その成功度、あるいは無駄の有無、整合工程の合理的な度合い、マテリアルとその特性を生かした機能の関係などをひとつひとつ読みとりながら・・・」
アキッレ・カスティリオーネは、大学でこうしたオブジェをひとつひとつ手に取りながら、モノに対する「好奇心」「観察力」「分析力」「探求力」の大切さを学生に語ったという。
アイデアは全くの無から生まれるわけではない。様々な思考と感じた事の蓄積があってはじめて偶発的に生まれるものである。同じモノであったとしても、感受性によって得られることに差があるのであれば、それは確実にデザイナーとしての資質の差に繋がる。 同時に、バーチャルではなくリアルにモノを感じることの必要性も語っているのではないか。自分の目で見て、触れて、感じなければ、マテリアルの特性と機能との関係など読み取れるはずもない。しかしながら、普段私たちはバーチャルで理解した気になっていないだろうか。
IDEOには「Tech Box」(下写真)と呼ばれるガラクタ箱がある。
世界中から集めた様々な特徴的な素材、製品が集められている。これもアキッレの「ガラス棚」と同じようにモノからの発想を期待するシステムである。因みにIDEOでは同じモノが入ったTech boxを世界中のオフィスに設置している。同じものを共有することで、オフィス間のコミュニケーション良化に繋げているという。
「アキッレ・カスティリオーニ 自由の探求としてのデザイン」の帯には、深澤直人氏の寄文が載せられている。
「デザインを考え抜いて、それからこの本を読んだら、みんなここに書かれていた」
深澤さんはIDEO出身であるが、そこで実践されていたプロセスの多くが、この本の中に表現されていたのではないだろうか。そして、それはこれからも変わることのないデザインプロセスの原型なのではないだろうか。
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・即動く、即作る
・モノ作りはどこへ
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by isoamu
| 2008-01-06 22:46
| デザイン全般