2007年 09月 01日
障がいからのイノベーション Vol.6
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今まで抽出したキーワードを頼りに、私も粘土をいじってみた。(表面処理に関しては今回追わず、形だけに集中して展開) そして、目の見えない二人に触ってもらいながら意見交換。
さて「どれが一番いい?」
私としては「小判のような形で指があたる部分のみ凹形状にしたもの」が、まとまりが良くていいと考えていたが、「普通すぎるかな」との反応。聞けば、彼らにとって今の携帯は殆ど同じ形に”見える”ようだ。。
「今の携帯の形って、あまり幅が無いんだよね」
「微妙に違っているとは思うけど、どれも四角で、僕らにとっては大差ない」
確かにそうだ。色、質感、材質は変わってはいるが、彼らにとってバリエーションを感じるレベルではない。搭載されるデバイス、携帯性を考慮すると「四角&薄型」が合理的だから、大方今の形に落ち着いているとは思うが、これだけ様々な種類の携帯がリリースされているのだから、もっと特徴的なものも出てきてもいいのではと考えさせられる。
あと、彼らはそもそも両手で携帯を操作していた。(これは迂闊だった) 片手で携帯を保持し(且つ、十字キーを操作)、もう一方でキーを探りながら押している。”5”の凸は、キーの配置を把握するのに大切な情報だというが、操作中にいちいち確認するということはせず、ある程度、頭の中にキー同士の距離感が出来上がっていて、動きは極めてスムーズで早い。そして、彼らの携帯は音声対応になっていて、入力した文章を随時音声で確認しながら操作する。
以下は、動画で撮影したもの
1) 目が見えない方の携帯メール操作 Mさん・両手・表
2) 目が見えない方の携帯メール操作 Mさん・両手・裏
3) 目が見えない方の携帯メール操作 Yさん・両手・表
「なぜ片手で操作しないのか?」と聞くと
「目の見える人が、携帯操作を片手で出来るのは視覚でキー配置を確認できるから。僕らのように、頭の中でキー配置をマッピングしながらの操作では、片手は無理」
実際どうなるのか、片手で操作してもらった。
以下、動画で撮影したもの
1) 目が見えない方の携帯メール操作 Mさん・片手・表
2) 目が見えない方の携帯メール操作 Mさん・片手・裏
3) 目が見えない方の携帯メール操作 Yさん・片手・表
確かにやりにくそうで、実際何度か操作ミスをしていた。片手で「携帯の保持」と「キー操作」の2つのタスクは、いかにも不安定。いや、二つではなかった。「キー配置のマッピング(理解)」というもう一つのタスクが存在していた。片手で「携帯の保持」と「キー操作」、そして「キー配置のマッピング(理解)」という3つのタスクの同時処理は難しいのだろう。
自分自身の操作を振り返ってみると、下端のボタンの操作時には、自然に携帯をささえている小指が下端に移動していた。視覚というメディアが「キー配置のマッピング」を担ってくれるためだろうか、私の手は「携帯の保持」と「キー操作」という2つのタスクに集中できる。
さて今後の展開
せっかく彼らを起点にしたアプローチをしているのだから、今ある”携帯”の”形態”からは、逸脱した”彼らが面白い、新しい”と思える形を思考しよう。そして、両手での操作も配慮して。
【静止画】目が見えない方の携帯メール操作
障がいからのイノベーション Vol 6
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by isoamu
| 2007-09-01 14:29
| 障がいからのイノベーション