2007年 08月 08日
Droog Design
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「Droog Design」は「デザインユニット」「デザインプロジェクト」「ブランド」「プロダクトデザインレーベル」など様々な呼ばれ方がされているように、明確に定義しにくい活動。(実際、彼ら自身も「Our criteria are very frexible(Droogデザインたる基準は非常に柔軟)」といっている)
元々はデザインキュレーターとデザイナーが中心となって、彼らの思想に合うデザイン(製品ではなくプロトタイプ)を「Droog Design」と称し、1996年のミラノサローネで発表したことから端を発する。
「Droog Design」を直訳すると「乾いたデザイン」。基準は柔軟だが、唯一「All of them are dry」としている。 「DRY」? まぁ これがようわからん。
彼らの冊子「Simply Droog: 10 + 3 years」で紹介されている作品/製品を見ると、単にスタイリングを追いかけるのではなく(これを彼らは18世紀の西洋におけるデェコラティブな家具に対比して「No Design」と称している)、私たちのモノに対する固定観念を少しずらす、もしくは価値観を変えさせる作品/製品が多い。
「牛乳瓶」を「ペンダントランプ」にする。
「古着」を「椅子」にする。
「古い家具の引き出し」だけを集めて「Cupboard」にする。
「ランプのシェード部分だけ」を重ねて「ランプ」にする。
関連URL
JDN デザインの事例・24 「no design」はデザイン
関心空間 DroogDesign
アムステルダム市内 1641年築の建造物にある彼らのギャラリー兼ショップは、町に溶け込んでいて、知らないとそのまま通り過ぎてしまいそう。
中に入ってみると、 うん 「面白い」
コンテンポラリーアートに近いかな。でも考えさせられる(理解できない)モノではなく、つい微笑んでしまうようなものが多い。
他の写真はコチラ
実際に販売しているモノもあって、「さぁ 何買ってやろうか!」と意気揚々と品定めするも「買えるものがない」。というか「買っても使わなさそう」なものが多い。結局、買ったのは前述の冊子と彼らの活動を紹介したDVD。
「ともするとオランダのプロダクトは、ばかばかしいと思われるかもしれない。機能的という点からは程遠いというものもある。けれど自由を認める余裕こそ、オランダの強みです。」出典:pen 10/1,2006 今を刺激するオランダのプロダクト
そう、確かにある意味「自由」。量産性、機能性など一般的なプロダクトデザインの規範を超えてる(無視している?)ものが多い。
確かにオランダって、ゲイ/レズの結婚が認められていたり、ソフトドラックが合法になっていたり”自由”ではある。考えてみると、1600年初頭の「東インド会社」(世界初の株式会社)に代表されるように、貿易で発展し、いろんな文化/人種を柔軟に受け入れてきている。
「当時からすでに世界一の港町だったアムステルダムには、世界中から物資が集まり、世界を見聞した人々の見識がアムステルダムを自由で寛容で合理的な精神の町として育てていく」 出典:地球の歩き方 オランダ ベルギー ルクセンブルグ
「マルセルワンダースが率いるmoooi」の広告写真で知られる「Erwin Olaf(エルフィン オーラフ)」も、「ホモセクシャルである僕が、独自のファンタジーを追及できたのもこの町にいたからこそ。当時(1970年代後半)ここは世界に類を見ない、真の自由都市だった」と語っている。 出典:pen 10/1,2006 オランダを牽引する、クリエーターたち
2000年に世界遺産になったリートフェルトの「シュレーダー邸」(1924)も、当時は周りの景観にそぐわなく「キチガイ館」とも揶揄もされたようだが、オーナーとリートフェルトの「自由でありたい」という思いがカタチになったものという。(ガイドが連呼していた「Freedom」が耳にこびりついている)
そして、1917年に創刊した雑誌およびそれに基づくグループ「デ・ステイル」も同じ意味で想起させられる(これもオランダね) (「デ・ステイル」は後のバウハウスにも大きな影響を与えている)
「従来の具象美術(具象絵画)と対比させて、「新しい造形」(抽象絵画・非具象絵画)の特質を示し(「単純で癖のない形態」「自由なラインと原色」など)、その、具象絵画に対するある種の優位性を示そうとするものである(「古い芸術・古い文化に終わりをもたらす」)」 出典:「新造形主義」Wikipedia
「Droog Design」は、今のプロダクトデザインにおける「スタイル」「機能性」に主たる価値を置いたモノづくりに対する批判の意味もあるようだから、オランダのクリエーターの根っこには、現状の諷しから、新しい潮流を作り出すという自由な精神があるのかもしれない。そして、彼らはそれを自分たちの「強み」として意識している。
「フリーな考え方が重要。ダッチデザインの特徴は”自由な発想”です」
出典:pen 10/1,2006 今を刺激するオランダのプロダクト
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元々はデザインキュレーターとデザイナーが中心となって、彼らの思想に合うデザイン(製品ではなくプロトタイプ)を「Droog Design」と称し、1996年のミラノサローネで発表したことから端を発する。
「Droog Design」を直訳すると「乾いたデザイン」。基準は柔軟だが、唯一「All of them are dry」としている。 「DRY」? まぁ これがようわからん。
彼らの冊子「Simply Droog: 10 + 3 years」で紹介されている作品/製品を見ると、単にスタイリングを追いかけるのではなく(これを彼らは18世紀の西洋におけるデェコラティブな家具に対比して「No Design」と称している)、私たちのモノに対する固定観念を少しずらす、もしくは価値観を変えさせる作品/製品が多い。
「牛乳瓶」を「ペンダントランプ」にする。
「古着」を「椅子」にする。
「古い家具の引き出し」だけを集めて「Cupboard」にする。
「ランプのシェード部分だけ」を重ねて「ランプ」にする。
関連URL
JDN デザインの事例・24 「no design」はデザイン
関心空間 DroogDesign
アムステルダム市内 1641年築の建造物にある彼らのギャラリー兼ショップは、町に溶け込んでいて、知らないとそのまま通り過ぎてしまいそう。
中に入ってみると、 うん 「面白い」
コンテンポラリーアートに近いかな。でも考えさせられる(理解できない)モノではなく、つい微笑んでしまうようなものが多い。
他の写真はコチラ
実際に販売しているモノもあって、「さぁ 何買ってやろうか!」と意気揚々と品定めするも「買えるものがない」。というか「買っても使わなさそう」なものが多い。結局、買ったのは前述の冊子と彼らの活動を紹介したDVD。
「ともするとオランダのプロダクトは、ばかばかしいと思われるかもしれない。機能的という点からは程遠いというものもある。けれど自由を認める余裕こそ、オランダの強みです。」出典:pen 10/1,2006 今を刺激するオランダのプロダクト
そう、確かにある意味「自由」。量産性、機能性など一般的なプロダクトデザインの規範を超えてる(無視している?)ものが多い。
確かにオランダって、ゲイ/レズの結婚が認められていたり、ソフトドラックが合法になっていたり”自由”ではある。考えてみると、1600年初頭の「東インド会社」(世界初の株式会社)に代表されるように、貿易で発展し、いろんな文化/人種を柔軟に受け入れてきている。
「当時からすでに世界一の港町だったアムステルダムには、世界中から物資が集まり、世界を見聞した人々の見識がアムステルダムを自由で寛容で合理的な精神の町として育てていく」 出典:地球の歩き方 オランダ ベルギー ルクセンブルグ
「マルセルワンダースが率いるmoooi」の広告写真で知られる「Erwin Olaf(エルフィン オーラフ)」も、「ホモセクシャルである僕が、独自のファンタジーを追及できたのもこの町にいたからこそ。当時(1970年代後半)ここは世界に類を見ない、真の自由都市だった」と語っている。 出典:pen 10/1,2006 オランダを牽引する、クリエーターたち
2000年に世界遺産になったリートフェルトの「シュレーダー邸」(1924)も、当時は周りの景観にそぐわなく「キチガイ館」とも揶揄もされたようだが、オーナーとリートフェルトの「自由でありたい」という思いがカタチになったものという。(ガイドが連呼していた「Freedom」が耳にこびりついている)
そして、1917年に創刊した雑誌およびそれに基づくグループ「デ・ステイル」も同じ意味で想起させられる(これもオランダね) (「デ・ステイル」は後のバウハウスにも大きな影響を与えている)
「従来の具象美術(具象絵画)と対比させて、「新しい造形」(抽象絵画・非具象絵画)の特質を示し(「単純で癖のない形態」「自由なラインと原色」など)、その、具象絵画に対するある種の優位性を示そうとするものである(「古い芸術・古い文化に終わりをもたらす」)」 出典:「新造形主義」Wikipedia
「Droog Design」は、今のプロダクトデザインにおける「スタイル」「機能性」に主たる価値を置いたモノづくりに対する批判の意味もあるようだから、オランダのクリエーターの根っこには、現状の諷しから、新しい潮流を作り出すという自由な精神があるのかもしれない。そして、彼らはそれを自分たちの「強み」として意識している。
「フリーな考え方が重要。ダッチデザインの特徴は”自由な発想”です」
出典:pen 10/1,2006 今を刺激するオランダのプロダクト
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by isoamu
| 2007-08-08 02:04
| デザイン全般