「統合」と「個別最適化」のバランス
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私の知っている障がいを持つ方が「それは統合教育が無かったことに起因するのではないか」と話す。統合教育とは、健常者と障害者を同じ場所で教育すること。統合教育下で、様々な特性の方との接点を持っていれば、相手の反応を待ってから、席を譲るなどの余裕も生まれたのではないかという。
「日本では、1979年の養護学校義務化が大きなポイントである。それ以前は大部分の重度・重複障害児は就学できず、自宅や施設で過ごさざるをえなかった。しかし義務化によって教育の機会を得られるようになった事は大きい。」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
障がいを持つ方には、それ相応の教育も必要だ。耳の聞こえない方にとっては、手話、読話など。目の見えない方にとっては、点字、そして聴覚、触覚でどう生活をしていくかなど。
「一方で「障害児は養護学校へ」というような分離意識を決定付けたという批判もある。」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本でもようやく統合教育に対する議論が始まっている状況だと思う。私が何かと参考にする「デンマーク」では、20年以上も前から統合教育に向けての取組みがされている。
「1980年に重度障害福祉が国から県・市町村行政に移管されたことによって土台が築かれました。~中略~ 養護学校の隔離的傾向が批判され、地域の公立学校での統合教育が理想的とされました。 ~中略~ 脳性まひや筋ジストロフィーなどの重度の障害児も地域の公立小中学校に通うようになり、低学年の普通クラスでダウン症児の統合教育を試みるところもありました。」 出展:デンマークの障害児教育とインクルージョン
ただ、彼らがすごいのは、統合教育を通り越して更に次のレベルに移行していること。
「障害を持っていない生徒と対等に教育を受けることに大きな困難と限界があることも次第に明らかになってきました。1980年代の中ごろのことです。多くの障害児が地域の学校で挫折感を体験し、精神的に傷ついていることに気がついた親は、養護学校に障害児を戻すようになりました。」 出展:デンマークの障害児教育とインクルージョン
「80年以降の特殊教育 ノーマライゼーションの理念を無批判的に受け入れて、単純に地域教育や統合教育をよしとするのではなく、より専門的な知識に基づき、障害児の個別的な教育ニーズにあった特殊教育を行うべきだという声が高まってきました。その結果、障害の種類と度合いに応じて、多様な特殊教育が設置されるようになりました。」 出展:デンマークの障害児教育とインクルージョン
それにしても、日本のユニバーサルデザインの現状と類似していないか。
「ユニバーサル=万人(共通)の、普遍[遍在]的な、万能の」であるにも関わらず、「誰でも使える」とは謳わずに、「よく多くの人が使える」というような歯切れの悪い表現を使うのは、統合教育の難しさと重なる。
「統合」と「個別最適化」のバランス
日本は、まだまだ道半ばだ。


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