2007年 06月 17日
障がいからのイノベーション Vol.3
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先日行った「目の見えない方とのワークショップ」(テーマ:携帯電話)
携帯電話の不具合を改善するアプローチではなく、彼らの触覚を起点にして新しいインタラクションを生み出したいと思っています。
ワークショップのシナリオはまずまず。彼らと対話しながら方向性を決め、自ら粘土をこねてもらいました。そして2つの方向性を導きました。
1)手の平全体で包み込むようして持つカタチ
手の平全体で携帯をささえたほうが軽く感じる。これは手と携帯との「接点の面積」が関係しているようですね。そして、指の関節へのあたり方はソフト(R形状)にする必要あり。骨にあたる感触を極力和らげることが肝要です。
2)両手の指先でつまむようにして持つカタチ
目の見えない方 お二人の内一人は、携帯を手の平に入れず、両手の指先で保持していました。そして、スピーカーを耳にあてながら操作したいとのこと(上図)。スピーカー面と操作面が裏表になっていたほうが使いやすいそうで、これは最もコンパクトな携帯電話が出来る可能性を感じます。
以降、この2つの方向で、より触覚を楽しませる「表面のテクスチャー」「硬さ」「形状」「重さ」の可能性を深堀していきます。次回(2weeks後)は「心地いい触覚」の素材を持ち寄ることにしました。持った瞬間に「これ気持ちいいね! でも、何で出来てるの?」のように、今まで体験したことのない未知なる触覚の可能性が見えたらいいな。
「気づき」のきっかけになるのではと考え、川辺で拾った「石ころ」を沢山持っていったのですが、これ効果的でした。
やはり完全に無の状態から「粘土」で思考をめぐらすのは困難でした。まず自分自身にイメージがないと、形は作れない。そこで、まず自分が気に入った「石ころ」を選んで頂き、そして、それを「どう使うか?」というブレストを行い、イメージを固めて頂きました。やはり具体物とのコミュニケーションがないと、「気づき」は得られませんね。
反省点としては、粘土制作中の私のファシリテートが過ぎた感あり。彼らの手の中の粘土が、「五平餅」「ハンバーグ」のように、捉えどころのない形に終始するのを見かねて、ついついアドバイス。下のホワイトボード見てください。必死で「理解できるカタチ」を模索してしまっている私。
結果、粘土の形に新鮮味が感じられなかった。粘土という素材の特質もあると思いますが、ここは一考の余地ありですね。
ワークショップの最初に、彼らの日常についてヒアリングをしましたが、これがまた面白い。
ホワイトボードのメモ→コチラ
点字ブロックがない歩道で曲がるポイントをどうやって認識しているか知ってます?
壁が途切れた時の反響音の変化(室内では指を鳴らしながら歩いています) 床の材質の変化による足の触覚の変化(タイルの目地も識別している) 歩道の微妙な傾斜(交差点付近は傾斜してますからね) 嗅覚(レストラン、ファーストフード店の匂い) のように様々な情報を複合的に活用しているんですね。選挙カーが街頭で演説しているときは、反響音がかき消されてしまうので腹立たしく感じるそうですよ。しかも福祉政策を謳っている時など、「お前が福祉じゃない!」とツッコミを入れたくなるそうで。目の見えない女性は、やはり「フワフワ」した感触が好きな方多いようです。「ぬいぐるみ」というのは視覚だけでなく触覚も大きな要素なんですね。
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by isoamu
| 2007-06-17 22:11
| 障がいからのイノベーション