「感じるプレゼン」
|

拙著「感じるプレゼン」は、単に「プレゼンノウハウ」を伝えるだけでなく、いろんな思いが込められています。
一つ目は、今の「ユニバーサルデザイン」に対する問いかけ
様々な特性の方に配慮したユニバーサルデザインは本当に必要だと思っています。そして、こうした理念が広がるべきだとも思っています。しかし、なかなか自分が使いたいと思えるユニバーサルデザインがない。そもそも「私に向けたものではない」と理解すればスッキリもするが、ユニバーサルデザインの理念「より多くの~」との矛盾を消化しきれない。
私は、何かしら新たな視点が得られないかと考え、福祉先進国と言われる「デンマーク」に視察に出かけました。
この本には、私がデンマークで見つけた「もう少し大人なユニバーサルデザイン」を紹介しています。
凹凸のタイルを組み合わせて、点字ブロックの存在を隠した駅、天井の高さを変える事で、廊下の反響音を変え、視覚障がい者に曲がり角を知らせる施設など(他の事例はコチラ) 確かに全員を救えない面はある。しかし、お互いが歩み寄り、「景観に対する配慮」と「障がいの方に対する配慮」の高いバランスを目指しています。
「感じるプレゼン」では「プレゼンテーター」が、「本で紹介されたプレゼン方法」で、「デンマークのデザイン事例」を説明しています。 是非、このデンマークの事例自体も楽しいで欲しい。何かしら感じてもらえると思っています。
二つ目は、障がいの方からの気づきを起点にした「新たな発想方法」
「感じるプレゼン」で紹介されているプレゼン方法は、聴覚障がいの方への配慮としての「スライド字幕」が特徴であるが、単に「字幕」を入れるだけではなく、話の内容に応じて「フォント」「文字大きさ」「文字位置」「文字色」「文字のアニメーション」を駆使し、感情的、感覚的な「言語化できない要素」も伝えようとしています。

聴覚障がいの方との対話から、「均一的にテキストを入れるだけでは伝わらないことがある」ということに気づき、こうした工夫をしましたが、私は「新しい表現方法」になる可能性があると感じています。
プレゼンだけでなく、落語、演劇など、演じる人に合わせて、文字がいろんな表現方法を伴って表示されるのはどうだろう。「聴覚」と「視覚」 同時に情報が入ってくる感覚。「しつこい」という向きの方もいるだろうが、コンテンツによっては、フィットするのもあるのではないだろうか。
障がいの方は、一般的に知られていない「ニーズ」 「課題」を多く持っている。これを「解決しなきゃいけない課題」として捉えるのではなく、「発想する起点(ヒント)」として捉えると、新たなイノベーションに繋がらないだろうか。
今、IAUD(国際ユニヴァーサルデザイン協議会)の余暇UDPで字幕に関する研究をしています。
私が本を執筆しながら感じたことを、この活動の中で具現化したいと思っています。
そんな思いを込めて、書いています。

イソムラ アユム / UDジャパン
スコア選択: ★★★★★


応援のクリックを!