イノベーションの本質
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しかし、IDEOは仕事を獲得するための販促ツールとして一見、形式値化されたようなMethodsをクライアントに提示しているだけのようにも見える。実際に彼らの方法をうわべだけで捉えて導入しても、うまくいかないケースも多いのではないだろうか。例えば、BrainStormingなどアイデアを広げるのはいいが、使えないアイデアも多い。結局、従来のやり方に戻りかねない。そして、Observationなど、その観察回数、観察領域の妥当性などを求めてしまい、理念がなし崩しになってしまうケースもあるだろう。それぞれの会社の風土にあわせたやり方が必要であろうが、これが本当に難しい。まあこれは、IDEO自身も分かっていると思うが。
「そもそも、1つ1つのクライアントが必要とする商品に、一般的な例などありませんからね。」 抜粋:CNET
いずれにせよ IDEO Methodsは「いかに気づきを得るか?」にフォーカスしたもので、「その気づきをどう実現するか?」までは語っていない。
通常の開発プロセスだと、調査により、多くの「気づき」の中から絞り込み、そして、どれだけの売り上げが達成できるかの定量データを添えて上に提案することになる。しかし、調査から「決定的に判断できる」、もしくは「確実に承認を得られる材料」などほとんど出てこない。
ではどうやって実現するのか?
最終的には、担当者の「思い」「VISION」「夢」が「その気づきをどう実現するか?」の原動力になるのではないだろうか。
そして、これこそ「イノベーションの本質」なのではないか。
新しい気づきを得るためには、それこそIDEO Methodsが唱えるように、様々な偶発的なきっかけを作る必要がある。しかし、本当に「力のある気づき(アイデア)」を得るためには、それこそ「強い思い」「強いVISION」「強い夢」を持ち、粘り強く悩みぬいて、搾り出すことが必要ではないか? そして悩みぬいて、搾り出したからこそ、何が何でも実現させる思いにつながるのではないか。
特定の手法を取り入れるだけでは、イノベーションは生み出せない。それに加えて 「思い」、「VISION」、「夢」が必要なのだと思う。 さぁ 私も語ってるだけでなく、実現させよう。

野中 郁次郎 / / 日経BP社
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トム・ケリー / / 早川書房
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