2007年 01月 31日
未来の可視化
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スローなユビキタスライフ
関根 千佳 / / 地湧社
ISBN : 4885031850
スコア選択: ※※※※※
技術開発の方向性を共有するために、社内向けに「イメージムービー」を作ることがある。
「未来を可視化」する作業だ。
単に「製品」のみを提示するのではなく、その「製品」がユーザーの未来の生活の中にどう溶け込んで、どんな価値を生み出しているか、実際にその「製品」を使っているシーンをムービーで見せ、研究者、企画者にイメージを膨らませて貰う。研究者はこのムービーから、開発要件(必要な仕様、スペックなど)を洗い出す。企画者はこの製品の価値を判断する。
「スローなユビキタスライフ」は、それを「小説」でやっている。
”ルイカ”と呼ばれる「情報端末(メール、電話、ネット、GPSなど様々な通信機能を備える)」を使った様々なシーンが記述されているが、私が感銘したのは、この”ルイカ”が「単なる便利なツール」として描かれているのではない ということ。
「都会に住む高齢者の生き甲斐」、「引きこもりの学生」、「地域との接点がない生活」など、日本における様々な社会問題を織り込み”ルイカ”が媒介となって解決している。 著者の関根千佳さんの「こんな社会に住みたい=社会はこうあるべき」という思いがまず第一にあり、それに技術は寄り添うように描かれている。
強く共感させらせる。
この「小説」の第一版が2005年の夏
ちょうど「ユビキタス」という言葉がいろんな場面で使われ始めて1年くらい経った頃だろう。私自身もソリューションデザイン担当として、「テーマパークにおけるユビキタスイメージング」を考えていたが、せいぜい「いつでも、どこでも 撮影できて、見られて、プリント注文できる」程度で 「繋がった先に人間の生活がどうかわるか?」までは考えていなかった。また「どうあるべきか?」など考えようもなかった。
この「小説」は、そこまで言及している。
今までデザイナーとして様々な提案をしてきたが、単に「便利&楽しい」で終わっていたように思う。 そもそも「どんな社会に住みたいか?」 そして「社会はどうあるべきか?」 根底でこんな意識を持つ事が、より多くの賛同者を得られる提案に繋がるのではないか。読み終わり、そう感じた。
そういえば、IDEOの求人にもWriterがあったな。
気に入って頂けましたらクリックを! ランキングの得票になります。
関根 千佳 / / 地湧社
ISBN : 4885031850
スコア選択: ※※※※※
技術開発の方向性を共有するために、社内向けに「イメージムービー」を作ることがある。
「未来を可視化」する作業だ。
単に「製品」のみを提示するのではなく、その「製品」がユーザーの未来の生活の中にどう溶け込んで、どんな価値を生み出しているか、実際にその「製品」を使っているシーンをムービーで見せ、研究者、企画者にイメージを膨らませて貰う。研究者はこのムービーから、開発要件(必要な仕様、スペックなど)を洗い出す。企画者はこの製品の価値を判断する。
「スローなユビキタスライフ」は、それを「小説」でやっている。
”ルイカ”と呼ばれる「情報端末(メール、電話、ネット、GPSなど様々な通信機能を備える)」を使った様々なシーンが記述されているが、私が感銘したのは、この”ルイカ”が「単なる便利なツール」として描かれているのではない ということ。
「都会に住む高齢者の生き甲斐」、「引きこもりの学生」、「地域との接点がない生活」など、日本における様々な社会問題を織り込み”ルイカ”が媒介となって解決している。 著者の関根千佳さんの「こんな社会に住みたい=社会はこうあるべき」という思いがまず第一にあり、それに技術は寄り添うように描かれている。
強く共感させらせる。
この「小説」の第一版が2005年の夏
ちょうど「ユビキタス」という言葉がいろんな場面で使われ始めて1年くらい経った頃だろう。私自身もソリューションデザイン担当として、「テーマパークにおけるユビキタスイメージング」を考えていたが、せいぜい「いつでも、どこでも 撮影できて、見られて、プリント注文できる」程度で 「繋がった先に人間の生活がどうかわるか?」までは考えていなかった。また「どうあるべきか?」など考えようもなかった。
この「小説」は、そこまで言及している。
今までデザイナーとして様々な提案をしてきたが、単に「便利&楽しい」で終わっていたように思う。 そもそも「どんな社会に住みたいか?」 そして「社会はどうあるべきか?」 根底でこんな意識を持つ事が、より多くの賛同者を得られる提案に繋がるのではないか。読み終わり、そう感じた。
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by isoamu
| 2007-01-31 00:33
| ソリューション