2007年 01月 14日
こうあるべきという共通認識
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iPhoneの「プロダクトデザイン」を考えてみます。
スマートフォン、携帯 ひいては、全ての小型デジタルツールデザインの一つのベンチマークになるであろう「iPhone」 今後、とかく比較の対象になるでしょうね。
wa-renさんの「キャズムを超えろ」にもこんな記事があります。
全世界の家電メーカーが力を合わせてもApple1社に勝てなかった日
日本のインハウスデザイナーが iPhoneのデザインを提案したらどうなるか?
企画部門からは・・・
メール、ネット接続が出来ることを、外観上でもアピールしたい。本体前面にメール、ネット接続をダイレクトに起動するボタンを設けてくれ。
設計部門からは・・・
抜きテーパは、当然つけてくれ。スライド型はコストアップに繋がる。
定格情報の表示はシールで対応してくれ。外装に直接印刷するのは、リスクが伴うし、各国毎の外装パーツの管理は避けたい。外装は全世界共通で、各国対応はシールは貼り付けるだけにしたい。
背面には「脚」をつけてくれ。「脚」がないと机に置いたときなど、外装にすぐ傷がつく。
営業部門からは・・・
2megaのカメラスペックを強調したい。是非、レンズ周りを強調するデザインにしてくれ。更にすぐに収納できるレンズカバーがあればなおいい。
液晶画面が汚れる。カバーをつけてくれ。
サポート部門からは・・・
故障パーツをすぐに交換できるよう、外装はネジで外せるようにしてくれ。また出来ればネジは汎用のものがいい。
そしてインハウスデザイナーは
「これらの条件を加味し、美しくまとめるのが、デザイナーの役割」だとされ、「ネジを一本減らす」「違和感のない(目立たない)ボタン形状を検討する」「カバー開閉の操作性を吟味する」など、膨大な検証と調整作業にはいる。
各部門のミッションを考えると、当然の主張であるが、Appleでは、多少状況が異なるのではないか。
Appleデザインの競争力の源泉は、デザイナー自身の能力もさることながら、Apple社内全体の『Appleはこうあるべきという共通認識』だと思う。企画、営業、設計、サポート部門、そしてデザインに対しても「Appleらしいかどうか」のフィルターがかけられ、それが何をおいても優先する。彼らは『これが自分たちの強み』だと認識している。
Vision、企業風土など、様々な表現がされるが、各部門のミッションは当然あるにせよ、そもそも会社全体の向いている方向が一致しているのだと思う。
これは一朝一夕に作り上げられるものではない。会社設立時から積み上げられた他には絶対に真似の出来ない貴重な財産であり、これがAppleデザインの本質なのだと思う。
「デザイン性の高さは理解できるが、シェアは決して高くない」とされ、Appleデザインを否定する声もある。確かに、PCにおいては、Appleのシェアは高くなく、彼らのアプローチを手放しで受け入れるべきではない。しかし「iPod」のシェアはどうか? 最後発で音楽プレーヤー業界に参入しながら、あれだけのシェアを獲得してしまった。デザインだけが成功要因だとは思わないが、キーとなる要素であったことは確かだと思う。
日本のデザインにおいて、すべきことはなんであろう。
このままiPodのように、シェアを奪われるのを指をくわえて待っているわけにはいかない。Appleと同じやり方をしても勝てるわけではない(しようにも出来ない) 周りを見渡して戦略を立てるのではなく、まずは自分たち自身の『強み』が何かを考えてみるのはどうだろう。
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by isoamu
| 2007-01-14 13:48
| デザイン全般