2006年 12月 17日
デザインの悩み
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MUJI AWARD 01
世界52カ国から4,758通もの作品の応募があった。そして受賞作品も決定した。
審査員である深澤直人さんのコメント
『多くの参加者がMUJI的思想を伝えるためのメッセージのようなデザインをしてきてしまった。』。
MUJIの「モノ作りの姿勢=ブランド」が広く浸透している証拠なのであろう。私自身も「とりあえずMUJIであれば、そこそこ満足いく」と考える時があるが、顧客に対してすっかりとブランドが定着しているという事だ。マーケティング上は大成功だといえるが、飽きっぽい消費者に対しては、今後「期待を裏切らず」、いかに「新しい切り口を見出すか?」 戦略は益々難しくなっていくだろう。
また、このコメントも「デザインコンペの新しい価値」を示唆していて面白い。
深澤直人さんのコメント
「メッセージ性を含んだものを選ぶかどうかで審査員たちも大きく揺れた。この経験はMUJIにとっても自己の立ち位置を見つめるいい機会になったと思う。」
デザインコンペは、一般的には「自社の製品アイデアの募集」と「パブリシティ効果」が目的としてあげられると思うが、今回は「自社のデザイン戦略に対する気づき」としての効果もあったのだと思う。
日本のデザイン界を代表するアドバイザーをかかえ、なかなか客観性を得にくい状況もあるのではないだろうか? 着実に実績はあげているのであろうから、現状を否定するモチベーションはどこにもない。今回の参加者の作品は、いわばMUJIにとっては「鏡」であり、自身の活動を客観視する有効なツールだったのではないだろうか。
以下の2つのコメントは、お二人の活動領域を反映してか、対立していて面白い。
杉本貴志さんのコメント
『今回の金賞「抜け殻」は、様々な意見が検討された。プロダクトデザインの論理からは不評であろう。しかし、であるからこそ、価値があると私は思う。我々は合理性の為に生きているのではなく、心が豊かになる為に生活したいからである。むしろ現状のプロダクトデザインの在り方が問われるべきではないだろうか。』
深澤直人さんのコメント
『MUJIの製品はメッセージを伝えるためのものではない。それは、ただ日常の生活に役立つ有用で適正なものなのである。』
「心豊かにする」 VS 「ただ役立つ有用で適正」
デザインの悩みを示唆していて面白い。
でもこのお二人の意見はそもそも起点が異なっている。杉本さんは「プロダクトデザイン」として語っているが、深澤さんは「MUJIのプロダクトデザイン」として語っている。このコンペの目的からすると深澤さんの方が正論ではあるが。
来年は、「デザインコンペ」出したいと思います。 やっぱり実際のカタチにする活動しないと何言ってても説得力ないからね。
コンペ情報のポータルサイト 登竜門
by isoamu
| 2006-12-17 17:52
| デザイン全般