「futacolab」ワークショップ開催報告
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先日、地域デザインブランド「futacolab」のワークショップを開催しました。初めて参加する方もいらっしゃったので、改めて「futacolab」についてご紹介。そしてNPO法人障害者情報支援センターの進藤理事長にご協力頂き6カ所福祉作業所(玉川、世田谷、烏山、岡本、用賀、ストーリー)を訪問したのですが、それぞれの作業所の自主製品や作業工程などを報告しました。
進藤理事長から、障害者自立支援法の改正により、作業所は”作れるものを作る”から”売れるものを作り工賃アップを目指す”に大きく状況が変化したこと。そして自主生産品の平均工賃12,800円/月に対し、5万円/月が目標とされていること(5万円+障害年金で自立した生活ができると言われている)そして、先般開催された世田谷区主催の「福祉作業所連絡会」では東京都から工賃アップの暫定目標”18,000円が提示されたことなどの説明を頂きました。

福祉作業所の現場スタッフからは「新しいことを始めるには、スタッフの負担が増える」「利用者の能力差によってロットに制限がある」「新たに設備を購入する資金はない」「利用者の高齢化も進んでおり、工程の再構築が必要」「”作りたいものを作る”はできるが”○日までに△△を作る”は難しい」などの課題を共有頂きました。たとえ”売れる商品”がデザイン出来たとしても、利益がでる規模を望めないという構造的な問題がここにあります。
本事業を健全なものにして行くためには、幾つかのステップがあると考えています。まずは周知のフェーズ、それから複数の作業所共同による生産能力の向上と販路確保しながら投資の見通しを立てていくこと。それ相応の覚悟で進めていくつもりです。
一方で、副次的なメリットも多いと考えています。地域の福祉作業所との共同は、地域でのネットワークを構築することが出来るでしょう。それはやがて新たなコラボレーションや地域の資産を活かした新商品開発に繋がっていくはずです。今も世田谷区内の集会に参加するたびに、様々な方々と繋がるのを実感しています。このように多面的に本事業の可能性を見出していくことで持続維持しうると考えています。

ワークショップとしては、これらを一旦引き受けながらも、デザイナーによるファシリテーターによって極力自由に発想を広げました。前回行ったワークショップに対し、今回は訪問した作業所の製品に限定し、より実現性の高いアイデア導出に努めました。「福祉作業所の理解促進を兼ねたツアーを開催し、且つ、作業所をオープンファクトリーにする」「地域の規格外フルーツを使ったソーシャルお中元」「障害者をアーティストと見立てたアートクッキー」などのアイデアが生まれました。
ワークショップは、多様な視点を取り組み、様々なステークホルダーとの関係性構築のためには有効ですが、商品化に向けては、気持ちを込めて粘り強くアイデアを練り込み、関係者と調整と交渉を重ねていく必要があります。秋の商品発表に向け悩み抜いていきます。また進捗を報告します。