2012年 03月 02日
【開催報告】ウェルフェアトレードのある暮らし
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2月27日に開催した「ウェルフェアトレードのある暮らし」(二子玉川カタリストBA)では商品企画、デザイナー、介護施設経営、NPO、研究者、介護福祉士、学生、福祉作業所職員など多種多様な方々40名ほどにお越し頂き、大変楽しいひと時を過ごすことができました。福祉作業所とのデザイン事例の紹介、世田谷区内の福祉作業所の製品をつかったデザインワークショップ、二子玉川での福祉作業所×デザインのプロジェクト「futacolab」の発表、そして最後には全国の福祉作業所で作られた食事を楽しむなど大変充実した内容だったのではと思っています。
まず最初にはMotherNess 羽塚さんより、障害者自立支援法施行以降、低賃金に苦しむ福祉作業所の状況(参照:月給わずか1万3000円)や引き出物を全て福祉作業所で作られたものでパッケージするという「ソーシャル・ウェディング」、地域おこしを福祉作業所とコラボレーションする「あらかわパウンド」、規格外品の桃をつかったコンフィチュール「LOVE&Peach」などの福祉作業所との様々なデザイン事例をご紹介頂きました。いずれも質の高いデザイン、そしてそれぞれに地域や作業所で働く方々との物語があります。
次に、ダイバーシティコンセプターの平原さん(グラディエパートナー)より、東北の福祉作業所の仕事を作り出すプロジェクト【PRe】Nippon(プレニッポン)の紹介。伝統の「和製本四つ目綴じ」の技を使って、南相馬市の施設さんと「ゲラメモ」制作を進めています。
そして、町田市で素敵な織物を制作している「La Mano」の高野施設長から、商品紹介と商品性向上及び製造ロット確保のための取り組みについてご紹介頂きました。会場からは販路の開拓などビジネススキームについての質問がありましたが、地域でこうした活動をしている方も多いはず。こうした方々でネットワークを作って、互いに高め合っていくのもいいのではと感じます。
続いて世田谷区の福祉作業所で作られている製品を題材にしたデザインワークショップ。世田谷区内の福祉作業所をサポートされていらっしゃるNPO法人障害者支援情報センターの進藤理事長から、それぞれの製品紹介を頂き、6チームに別れてブレインストーミングを行いました。二子玉川周辺商業施設の客層をターゲットしたのですが、商品のカタチのみならず売り方や福祉作業所ツアーを組み合わせたファンづくりなど多様な視点が提案されました。最後に世田谷区立福祉作業所の方々から「目から鱗」「今まで全く発想になかった」などとても嬉しいコメント。そして、こうしたオープンな雰囲気で多種多様な方々が集まる場自体に可能性を感じて頂いたことも大きな成果でした。
<提案されたアイデア>
・子供向けアクリルたわし
(動物のカタチのたわしと絵本をセットにして子供に掃除を体験してもらうキット)
・出産祝いキット
赤ちゃん用の木製カトラリー
木のスプーン付の離乳食おでかけセット
・ペットと飼い主とのコミュニケーションキット
ペットの性格やタイプによって味のバリエーションを用意する
・バカラとコラボレーションしたナイトセット
・二子玉川バーベキューカトラリーセット
・離乳食としてのベビーマッシュポテトセット
(パッケージとしてクロスを活用し開封後も使って頂く。クロスにはレシピなどが印刷されている)
第一部最後には私から世田谷区内の福祉作業所とのコラボレーションプロジェクト「futacolab(フタコラボ)」(チラシダウンロード)の発表をしました。二子玉川の地域資産を活用し、地域の福祉作業所やクリエーターと一緒に、地域の方々に支持されるものづくりをしていきたい。こうした活動が、小さくとも地域の物語となり、やがて街の魅力に繋がるものと思っています。今、NPO法人障害者支援情報センターにご協力頂き世田谷区内の福祉作業所にご案内をしております。またMotherNess 羽塚さん、平原さんと共にスキームづくりを進めています。秋頃までには必ず製品をリリースしますのでお楽しみに。
第二部は福祉作業所で作られた美味しい食事を楽しむウェルフェアトレードパーティー。前述の進藤理事長にあいさつ頂き、九州沖縄サミットの晩餐会で献上されたココ・ファーム・ワイナリー(知的障がい者が製造の一端を担っている)で乾杯(^_^)
今回、用意したウェルフェアトレードの食事をご紹介します。
・奈良県 青葉仁会さんの東北復興支援カレー
牛/チキン/キーマ/ひよこ豆/タイレッド等
カレー1パック400円の内、20%の80円を東北支援のための寄付金
・世田谷区 わくわく祖師谷さんのパン
ナン/胚麦パン/もちもちあんぱん、チョコパン
生活介護・就労継続支援B型事業所。活動内容パン製造販売、各種受託作業、清掃作業、織物、紙すき、手工芸等
・宮崎県 なのはな村さんのお米、らっきょう、はりはり漬け
就労移行支援事業、就労継続支援事業(B型)、生活介護支援事業の3事業と地域生活支援事業(日中一時支援)の多機能型事業所。
・北海道 共働学舎新得農場のチーズ
白カビタイプ“コバン”/レラ・ヘ・ミンタル/ホエイジャム
農をなりわいとしながら、さまざまな人たちが共同生活を営んでいる。共働学舎の第一の目的は、社会に適応できない、精神的に多くの悩みを抱えた人たち、あるいは知的、身体的ハンディキャップを持った人たち、あるいは境遇上の理由で家庭生活、社会生活が難しい子供や若者たちに、彼らが生きていく場所を提供すること。
・山梨県みとおしさんの桃のコンフィチュール(ヤサシイキモチブランド)
行列するほど人気の桃農園でとれた白桃を100%使用したウェルフェアトレードのコンフィチュール。
・群馬県 上州水土舎さんのコンフィチュール
ブルーベリー/ストロベリー
・ワイン ココ・ファーム・ワイナリー
2010 農民ロッソ/2010 足利呱呱和飲/いまここロゼ/2011収穫祭記念白ワイン
知的障害者更生施設こころみ学園から原材料のブドウや椎茸を仕入れ、ワインなどに加工して販売。2000年、九州沖縄サミットの晩餐会での乾杯に用いられたことで著名になったことでも有名な一品。
今後も「futacolab」の進捗にあわせてイベントを行っていきます。こうしてカタリストBAで今まで全く接点のなかった領域の方々がフラットに対話をもつ。この可能性を改めて感じたイベントでした。改めてご参加頂いた方々、一緒にイベントを作ってきた方々に御礼申し上げます。
by isoamu
| 2012-03-02 14:33
| 福祉