Sustainable+UD&Sharing Community(武蔵美 基礎デ イリノイ工科大 佐藤教授 特別講義)
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富士ゼロックスの蓮池さんに依頼されたのは、サスティナブルに絡めたユニバーサルデザインに関するキーワードでした。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科の客員教授であるイリノイ工科大学の佐藤教授、同大学 小林教授、蓮池さん、そして修士学生数人とのセッションでは、デンマークでの経験を踏まえて特に中長期でのサスティナブル社会に向けた視点をご紹介しました。
Sustainable+Universal
これは方々で紹介している切り口ですが、デンマークにおけるパーソナルモビリティの広がり(多様性の包括=ユニバーサルデザイン)がCO2削減、高齢者の社会的繋がりの導出、地域の活性化、新たな産業育成につながっているという事象です。なぜ日本で機能しないのか?について、福祉財源、道交法、そしてスティグマデザインを挙げました。道具を使うことの抵抗感(不名誉な烙印=スティグマ)に関しては、デザイナーが担うべき領域。必要なユーザーが引け目を感じることなく利用出来る有り様を生み出していくべきです。
同時に、ノーマライゼーションの定義も改めて問うべきです。欧州におけるモビリティの多様化は、日本との解釈の差を感じずにはいられません。そしてデンマーク社会の根底にある自己決定権の理念は、私たちのこれからの生き方、働き方、暮らし方を問うています。”日本的”なるものは結果論として得られるもので、その議論に時間を費やすべきではないでしょう。まずはやってみて、少しづつ修正していく。実はそれが、最もデンマークから学ぶべきこと。パーソナルモビリティに関しては、京都大学 松野研究室と取り組みを始めています。またいつかご紹介します。
Sustainable+Sharing Community
デンマークの多世代が共に暮らすエコビレッジ「スヴァンホルム」が私の原体験です。多世代が共に暮らしていくためには、アクセシブルな要素(ユニバーサルデザイン)に加えて、人を繋げていく仕組みが必要です。そして震災以降、コレクティブハウス、コーポラティブハウス、シェアハウス、シェアオフィス、コ・ワーキング、コ・ハウジングなどのシェアリングコミュニティが注目を集めていますが、短期的には物資の共有が消費を抑え、中長期的にはコミュニティにおける社会的繋がりが高齢者に対する予防介護にも発展します。私たちは高度成長期における個人主義の台頭から、大きく価値観を揺さぶられています。皆が共感出来る姿を提示しうる時期が来ています。その小さな一歩が、それら事例を研究し発信する「ユルツナ」とオフィスを構えた「co-lab二子玉川」です。
シェアリングコミュニティについては「福祉デザインナイト」(主催:In-House-Out)でも対話を持ちます。デザイン、研究者、学生、介護、医療など多彩な方々の申し込みがあり、どんなキーワードが導出されるかとても楽しみ。まだ若干名枠がありますのでご興味のある方はコチラをごご覧ください。