2011年 03月 19日
バリアフリートラベル(デンマーク編)3
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コペン中央駅構内に設置されている点字ブロックを見ながら「これは飾りだね」と結論づけるメンバーたち(^_^; それにしてもデンマークの点字ブロックは多種多様。誘導ブロックは一本〜四本まで、ブロック石で点字ブロックとしているもの、点描で誘導しているもの、金属板で代用しているものなどなど。
敷設が不十分で”誘導された先に何もない”という事例も多い。メンバー間では「見事な放置プレーだねー」と盛り上がる(^_^; 揺るやかなカーブを描く点字ブロックは、見た目こそ美しいが、視覚障がい者にとって曲線移動は非常に困難なものだ。誘導ブロックの形状が途中で変わるのも戸惑わせるだろう。現地で見かけた視覚障がい者は、確かにほとんど”アテ”にしていない。敷設する側の自己満足といわれても仕方ない。
何人かのデンマーク人に聞いてみると「自分たちの環境だから、自分たちの思うようにしたいでしょ」「それぞれの地域で(点字ブロックが)異なるのは、その結果だよ」という。大胆な政策転換も厭わない国民性だから、標準化よりむしろ柔軟性に重きをおく。それ故にこうした割り切りの良さも出てくるのかもしれない。
一方で、世界でも屈指の敷設率を誇る日本の点字ブロックに対して「あまり頼りすぎると能力(位置把握)の低下を招く」という方もいる。ただ知人の後天性視覚障がい者は、やはり点字ブロックの黄色をたよりにしている。視覚障害というのは我々が思っている以上に多様であるが、共通しているのは、少なくとも危険なところは確実に知らせる警告ブロックは必須だということ。多様なニーズを全て叶えるのは難しいが、最低限の仕様が何かを探ることはできるかもしれない。
さて、日本と比べ対照的なデンマークの点字ブロック。彼らのような不統一はどうかと思うが、ただ点字ブロック敷設について定義されている「バリアフリー新法(以下新法)」をそのまま鵜呑みにしていいのか、と思うのである。決して新法の内容を否定するものではないが、”新法に従えばアクセシビリティが確保される”という短絡的な思考に陥らないようにしたい。余裕のない現場レベルでは役所に通すための”付け足し”として対応しがちだが、そもそもそれが”本当に使いものになるのかどうか”の意識が少しでもあれば、対応は変わってくるのではないか。その結果、地域によって仕様が変わってもいいと思うのである。
デンマークでは、必ずステークホルダーとの対話を通じて仕様を決定しているという。先のコペン中央駅の点字ブロックも視覚障がい者との対話があっての結果だときく。あくまで作り手と使い手の対話を起点に、そしてガイドラインに対し盲目にならないように開発を進めたい。
「バリアフリートラベル」(デンマーク編)
■ バリアフリートラベル 1
・疎外感のないアクセシビリティ
■ バリアフリートラベル 2
・まずは一言聞いてからサポート
「バリアフリートラベル」(韓国編)
■ バリアフリートラベル 1
・サポート(介助者)は”余裕を持った人数”と”同姓”であることが望ましい
・フライトチケットの手配時には”車イスの幅・種類”を伝えておく
■ バリアフリートラベル 2
・ホテル予約時には部屋の設備について詳細に確認する
■ バリアフリートラベル 3
・車イスの介助は”凸より凹”に注意
■ バリアフリートラベル 4
・移動は余裕をもって
■ バリアフリートラベル 5
・空港への往復は車をチャーター
■ バリアフリートラベル 6
・目の見えない方には常に”実況中継”を心がけて
■ バリアフリートラベル 7
・忘れ”視覚障がい者”に注意
■ バリアフリートラベル 8
・車イスで行けない所は、デジカメで伝えあおう
■ バリアフリートラベル 9
・目の見えない人へのメールは”音声読み上げ”に配慮して
■ バリアフリートラベル 10
・韓国のアクセシビリティはまだまだ発展途上
「バリアフリーテーマパーク」(TDL編)
■ バリアフリーテーマパーク 1
・多様な情報保証
■ バリアフリーテーマパーク 2
・ライドアトラクションのアクセシビリティ
■ バリアフリーテーマパーク 3
・サポートへの配慮
■ バリアフリーテーマパーク 4
・専用スペースの準備
by isoamu
| 2011-03-19 22:12
| デンマーク