2010年 12月 09日
突き抜けた技 〜視覚障害者クライミング世界選手権〜
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先日「第1回視覚障害者クライミング世界選手権大会 2010」が開催された。知人である「NPO法人モンキーマジック」の小林さんの夢が結実した大会だ。
ロープで縛られているので、視覚に障がいがあっても安全にクライミングができる。ホールドの位置はコーチからの指示、もしくは事前に記憶しておくことで把握できる。傍から見ていると、競技者が視覚に障がいがあることを忘れてしまう。環境によって障がいはいとも簡単に覆る。
福祉は通常憂うべき事由として扱われる。それは当然そうであるべきで、やはり主催者、自治体からの挨拶は、そうした論旨のものばかりだった。ただ小林さん一人「ダイナミックな動きに可能性を感じて欲しい」とサニーサイドに目を向ける。
先日、NHK教育で大変ユニークな番組があった。「笑っていいかも」という障がい者によるバラエティー番組だ。障害を逆手にとって、あえて自虐ネタを披露する漫才師たち。優勝者は「脳性麻痺ブラザーズ」(^_^; 芸として成立していた。
実は掲載している写真は、同時開催された肢体障がい部門の競技の様子である。片足だけ、もしくは義足の彼らがいとも簡単そうに登っていく姿に、そのハンディキャップに対する同情的思考を越え、スルッと感動してしまったのである。無心にその技に見入ってしまったという、なにか突き抜けた感じ。自分のデザインもこうしたレベルまで到達したい。そうすればきっと普遍的で持続可能なものになるはず。
もう一つ、この選手権でお知らせしたいのが、この大会のグラフィック全般(Tシャツ、パンフ、サイン計画、サイト等々)は「IN-HOUSE-OUT」というインハウスデザイナーを中心としたボランティア団体が担っているということ。利益至上主義の産業構造に組み込まれた企業デザイナーの、社会の中でのデザイナーの役割を今一度自答するためにこうした社会性の高い活動に貢献している。これもまた突き抜けた高いモチベーションのなせる技。これに関してはミッドタウンで定例会をやっているので、ご興味のある方は、コメント欄にその旨ご記入ください。
・視覚障害者クライミング世界選手権 メディア掲載
「視覚障害者19人 13メートルの壁に挑む 習志野でクライミング世界大会」東京新聞
「習志野でブラインドクライミング世界大会 視覚障害者 登る技術競う」千葉日報
「クライミング:視覚障害者の初の世界大会 千葉・習志野で」毎日新聞
「クライミング:視覚障害者世界選手権 点字の大会パンフ好評 毎日新聞社配布 /千葉」毎日新聞
「視覚障害者がクライミング 千葉で国際大会」47NEWS
by isoamu
| 2010-12-09 21:50
| 福祉