2010年 11月 19日
スティグマデザインという社会問題
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高齢化社会における諸々の課題は、”身体能力の喪失”よりむしろ”社会的繋がりの喪失”が大きく起因している。周囲との接点が、生活に変化を与え、それが体を動かすきっかけになる、住環境整備は対処療法の最たるもので、いかにそうならないようにするかの予防的視点が肝要だ。
日本におけるショップモビリティの第一人者である白石氏に話を伺うと、ショップモビリティによるショッピングの滞留時間は通常の約3倍、そして一人当たりの購入単価は数倍にもおよぶという。そして、こうした外出機会は地域住人との接点をも創出する。モビリティの高齢化社会における大きな可能性を示しているわけだが、一方、日本においてショップモビリティの普及が思うように進まない理由として「地域における運営体制が不十分」そして「利用者の機器使用に対する抵抗感」が挙げられるという。日本人は特に「歩行」に対する拘りが強い。モビリティ使用時に友人から「(そんなものに乗って)大丈夫?」と心配されたことが、その後の(モビリティ使用に対する)モチベーションを下げてしまった事例もあるという。
確かに歩行は健康維持のため必要ではあるが、あまり強がりが行き過ぎれば、外出が億劫になり、結果自宅に閉じこもってしまうこともあるだろう。機器は適切かつ有効に利用すべきなのだ。
介護施設における質の高いサービスとは「機器を使わないこと」であるという。介護用自動洗身入浴装置などは典型で、利用者からは「食器になったみたいで嫌だ」と拒絶されることも多いという。また紙オムツではなく、布オムツを使用する方が、丁寧なサービスだとして好評だという。日本人の感覚として理解はできるのだが、結果、介助者に負担がかかるのはいうまでもない。介護負担による不幸な出来事は周知の通りだが、これを軽減するには介助を受ける側の価値観も変えていかねばならない。因にデンマークでは、介助者は利用者を持ち上げてはいけないのだという。代わりにリフトを使わなければならないのだが、労働基準法で規定されているという。
各社、介護機器に参入している。だがそもそも利用者の機器に対する抵抗感を軽減させなければ、ビジネスは成立しない。人口統計上の可能性だけをみて、参入してもうまくいかない。
改めて問いたい。今後の日本にとって、こうした機器に対する抵抗感(スティグマ)は、大きな社会問題だ。機器に抵抗感がある日本人にこそ、より強力に美しい福祉機器が必要だ。高齢化社会に対して、デザイナーがやり残している大きな仕事なのだ。
日本におけるショップモビリティの第一人者である白石氏に話を伺うと、ショップモビリティによるショッピングの滞留時間は通常の約3倍、そして一人当たりの購入単価は数倍にもおよぶという。そして、こうした外出機会は地域住人との接点をも創出する。モビリティの高齢化社会における大きな可能性を示しているわけだが、一方、日本においてショップモビリティの普及が思うように進まない理由として「地域における運営体制が不十分」そして「利用者の機器使用に対する抵抗感」が挙げられるという。日本人は特に「歩行」に対する拘りが強い。モビリティ使用時に友人から「(そんなものに乗って)大丈夫?」と心配されたことが、その後の(モビリティ使用に対する)モチベーションを下げてしまった事例もあるという。
確かに歩行は健康維持のため必要ではあるが、あまり強がりが行き過ぎれば、外出が億劫になり、結果自宅に閉じこもってしまうこともあるだろう。機器は適切かつ有効に利用すべきなのだ。
介護施設における質の高いサービスとは「機器を使わないこと」であるという。介護用自動洗身入浴装置などは典型で、利用者からは「食器になったみたいで嫌だ」と拒絶されることも多いという。また紙オムツではなく、布オムツを使用する方が、丁寧なサービスだとして好評だという。日本人の感覚として理解はできるのだが、結果、介助者に負担がかかるのはいうまでもない。介護負担による不幸な出来事は周知の通りだが、これを軽減するには介助を受ける側の価値観も変えていかねばならない。因にデンマークでは、介助者は利用者を持ち上げてはいけないのだという。代わりにリフトを使わなければならないのだが、労働基準法で規定されているという。
各社、介護機器に参入している。だがそもそも利用者の機器に対する抵抗感を軽減させなければ、ビジネスは成立しない。人口統計上の可能性だけをみて、参入してもうまくいかない。
改めて問いたい。今後の日本にとって、こうした機器に対する抵抗感(スティグマ)は、大きな社会問題だ。機器に抵抗感がある日本人にこそ、より強力に美しい福祉機器が必要だ。高齢化社会に対して、デザイナーがやり残している大きな仕事なのだ。
by isoamu
| 2010-11-19 00:44
| ユニバーサルデザイン