2010年 12月 13日
観光のユニバーサルデザイン
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東京駅の新幹線ホーム。缶コーヒーを買おうとスイカを出すと「ここは取扱していないのです。JR東海の管轄ですから」という。「そんなん知ったこっちゃない」と、つい口に出そうになるのをグッとこらえて現金で購入したのだが、公共交通においてこうした事業社間の不統合は頻繁に出くわす。
先月、浜松で行われた国際UD会議のため招聘したデンマーク人を東京案内している時のこと、日本の切符自販機を体験してもらった。自販機の「ENGLISH」を押下すると値段一覧が表示される。その時点で目的地によって値段が変わることを知り、更に行き先マップを確認しなければならないことに気づく。そして英語の行き先マップを探しているうちに画面が日本語画面に戻ってたりして苛つく(^_^; でもそもそも英語の行き先マップがない駅もあったりする。写真はデンマーク人の代わりに、値段を確認している私。
もう切符を買うのは面倒だからと1日券を買おうとするも、JRとメトロ共通のものがない。最終的には私のスイカカードを貸すことにしたのだが、途中で”乗り換え用のオレンジ色の改札”まで誘導すると「私はどうやって、この改札の存在を知るの?」とポツリ。確かに英語表記がない、というか鉄道事業社が重層化しシステムそのものが煩雑。ひと通り観光し終わった後「外国人観光客に向けたユニバーサルデザイン、一杯仕事があるわね〜」と激励なのか、皮肉なのか(^_^;
公共交通のアクセシビリティは、電車乗降性、自販機ユーザビリティ、サイン計画、人的サービスなどの全ての要素を統合的に進め、且つ事業社間のコンセンサスなどホリスティックな取り組みが肝要だ。そして国籍を越えて多様な人々が利用するというダイナミック且つ典型的なユニバーサルデザインのテーマだ。昨今、アジアからの観光客はうなぎ上り。彼らが快適に旅行できるかどうかは日本のサービス産業の発展にも大きくかかっている。
関連資料
・訪日外客数・出国日本人数(2010年9月推定値、7月暫定値)日本政府観光局(JNTO)
韓国からの旅行者、9月前年比83.7%の伸率。
by isoamu
| 2010-12-13 23:13
| ユニバーサルデザイン