石油モノカルチャー「ドバイ」
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ラスベガスとフロリダ周辺のテーマパークをガチャガチャっと混ぜて薄した感じ。
「ドバイメトロ」のアナウンスはディズニーばりの抑揚が効いたアナウンス。各駅のインテリアにも特徴を持たせ、中には海底をイメージさせるものもある。ショッピングモール「ドバイモール」には屋内テーマパーク、水族館、映画館、スケートリンク、キッザニアが併設され、夕方になるとモール前で噴水ショーが始まる。「イブンバトゥータモール」というショッピングモールはアンダルシア、チュニジア、ペルシャ、エジプト、インド、中国の6つのエリア毎にインテリアデザインが異なり、世界を旅した気分にさせる。高層ビル「バージュハリファ」の展望台に登ればドバイ市内が一望できる。そして出口にはお決まりの合成写真の販売だ。他にもビーチ、砂漠とレジャーには事欠かない。レジャーの定石だ。


ただいずれも”世界一”を誇る。高さ世界一の複合ビル(バージュハリファ)、高さ世界一のホテル(バージュアルアラブ)、世界一最速のエレベーター(バージュハリファ)、世界一の規模(ドバイモール)、世界一の長さ(ドバイメトロ無人鉄道として)など。
ただいずれも”成りきれていない”。欧州のそれを似て、また豪華さだけは引けをとらないが、なんというかセンスがない(ゴメン、ドバイ)。エンターテインメントに徹するでもなく、自国のアイデンティティを起点にするでもなく、世界のノウハウを全部つぎ込み、規模だけで自らの存在を誇示する。でも誇示すればするほど、西洋文化に対する憧れが伝わってしまうんだよな。
ただ既に欧州はサスティナブル社会への志向に移行している。規模を競うという時代は終わり、物質文明と環境維持の適度なバランスがとれた開発が主流になりつつある。そうしたものにインテリジェンスを感じる価値観に移行している。ドバイも石油モノカルチャーからの脱却を図っているというが、規模を誇示する価値観が今後どのように変わっていくのか楽しみである。究極のリゾートシティードバイでエコツーリズムなんてのが出来たら、それこそハイセンスだと思うのである。