2010年 10月 12日
拘りの実験
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先日、「Torup」と呼ばれるデンマークのエコビレッジに訪問した(月1回のガイドツアーに参加)30人程のベジタリアンの集まりから始まったようだが、現在では40棟程の住居、国民学校、ショップ、カフェ、パブリックセンター(キッチン、フリースペース、キッズルーム、事務所)が設置されている。パブリックセンターはオフィスルームの貸し出し、ビジター用のショートステイ(3日以内)にも対応する。因にセンター内のキッズルームは、パーティー中に子供を遊ばせておけるからだそうだ(^_^;
ここも他のエコビレッジと同様に住民の離村(特に若い世代)を課題としている。ビレッジ内活性化のためのイベント企画、子持ちの夫婦のための幼稚園、また多様な住まい方のニーズに合わせるべく、3世帯が共同生活するシェアハウス(バス、キッチンを共有)、シングルのためのアパートメント、ショートステイできるトレーラーを改造した住居(200DKK/MONTHS)などを設置している。住民はエコビレッジ内の農場、建設施工などに従事するもののほか、コペンなど市内で働くものが半々程度だという。下水処理施設、セントラルヒーティングシステムによる床暖房、カーシェアリングを行う。また創立時には環境保護団体から資金援助を得ていたようだ。特にユニークなのは敷地内の住居だ。
多面体の住居は、断熱効果を狙ったものだという。説明では”屋根部分が外観の大半を占めること”と”吸熱効果のためのグレー色”がその効果をもたらすのだという。住居の半分が土地に覆われているのも断熱目的。下写真は三角屋根が外観を覆う構造。
屋上緑化もユニークだ。季節によって色が変わるよう植物に多様性を持たせているもの(上写真)。また断熱効果を狙い、山を切り抜いて住居にしたようなものなど(下写真)。フンデルトヴァッサーを彷彿とさせる設計だ。
欧州はもともと湿気がなく日向が気持ちいい。ガラススペースを多く採るのはこちらの特徴だが、パッシブ住宅とも呼ばれ、太陽の光を住居内に積極的に取り入れる設計だ。また太陽電池を併設している住居も多くみられた。
こちらはビレッジ内で最も古い住居。藁と泥と石で作られた外壁は、宮崎駿の世界を彷彿とさせるではないか。「そもまま崩して土に埋められるのよ」と全ての建築資材が自然素材であることを自慢する(^_^; 他の多くの住居も”Experimental House”というように、住民ごとに様々な取り組みがされている。こうして敷地内の小道を歩くたびに現れるユニークなファサードの住居は、このビレッジの大きな魅力になっている。また自分の拘りを”実験”できるフィールドはこの上ない満足感に繋がるに違いない。
こんなことが出来るのも、ビレッジ内の魅力の一つだろう。
by isoamu
| 2010-10-12 04:57
| サスティナビリティ