この世界に実存するためのインターフェース Alarm Clock for Deaf-blind
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出典元:盲ろう者のためのしっかりさわれる触読式目覚まし時計
盲ろうの福島智氏(東京大学教授)は「盲ろう者にとって、この世界は静かすぎる」という。振動、陽射し、香り、椅子の感触、ただそれだけ。絶対的な孤立感を強いられると共に、自己の実在さえ希薄になる。
この世界との”接続”は他者とのコミュニケーションによってもたらされる。他者からの情報(指点字)によって、この世界を認識し、他者とこの世界を共有する。”接続”によってようやく自己の実在が確認できる。この”接続”は自己と他者の間だけに留まらない。視覚、聴覚から得られる空間及び時間次元との”接続”も、この世界に実存するためには必要だ。
有限会社ピージェーアイの中野さんたちプロジェクトメンバーが進めるこの時計は、時間次元と”接続”するインターフェースである。時間次元を意識下におくことは、人としてQOLを維持するための必須の”接続”かもしれない。例えば、起きた時間が、朝か夜か分からない状況を想像できるだろうか。私たちは、こうしたところからも、改めて時間の意味を知らされるのである。
担当するご本人は、マーケットの小ささを案じておられるが、このインターフェースが人にとって必須である事実が何にも増して心強い。実のところ、汎用性なんぞは思わぬところからくるものである。タイヤ交換に時間がかかる人向けに作られた「スタッドレスタイヤ」が、今では、スペアタイヤが不要で、その分車両重量が抑えられ、地球環境にやさしいものとして注目されているという。時代によってニーズは平気で変わる。今しばらく辛抱して開発を続けてほしいと思うのである。
Alarm Clock for Deaf-blind are progressing. Deaf-blind can't exist in the real without connecting with others. This Alarm-Clock makes them manage to time by themselves. It's gonna be essential tool for their Quality of Life.