2010年 08月 12日
コミュニティのシンボル
|
埃にまみれながらススと錆を落とし、ガラスにつかないように慎重にペンキを塗りながら、つい「いっそのこと軽量のアルミ窓枠に変えてしまえばいいのに」と思ってしまうである。その方が耐久性も高く、こうした手間のかかるメンテも大幅に削減できる。そもそも固定している窓枠と周辺の煉瓦自体も腐っていて、そのうちペンキの上塗りだけじゃすまなくなるのも目に見えている。
ビルディンググループの一人は、最初にここを訪れた時「こんな素敵なところに(人が)住めるの?」と思ったという。貴族が所有していたというこの屋敷は500年以上前(ベースメントのみで上屋はそれ以降)のものだといわれる。以来、リノベーションを繰り返し、世代を越えて住み続けられている。屋敷周辺の建物も、コミュニティ内の景観に破綻のないように計画されているのがわかる。
前述の彼は実はプロダクトデザイナーである。育児に合わせて自分の事務所の仕事を一旦中断し、ビルディンググループの一員としてコミュニティ内の建築及び設備計画と施工を担う。「小さなプロダクトのデザインもいいけど、今やっているコミュニティ全体の建築、景観デザインも面白い」という。作業の大半は修繕だが、彼の視野は屋敷と建家が並ぶ55ヘクタールの広大な敷地におかれている。
修繕コストを考えれば、新築した方が安い場合もあろう。しかし、スヴァンホルムの建物はコミュニティに人を惹きつける求心力であり、存続のために欠かせない要素の一つなのだ。
by isoamu
| 2010-08-12 05:16
| サスティナビリティ