2010年 08月 08日
究極の自己満足
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私たちの生活は家族単位から地球全体にまで至る相互依存の集積で成立している。サステイナブルライフを謳うこのコミュニティも、その類から免れない。確かに食料、エネルギーを自給自足(下写真:スヴァンフォルム所有の風力発電)するなど地球環境に配慮した典型的ライフスタイルではあるが、自動車及び燃料、電化製品、各種サニタリー、各種設備機器などの使用及びその製造工程を仔細にみれば、他者依存の構図と、更には様々な負の側面もでてくるだろう。
ハイブリッドカーも、燃費の面でさえ従来ガソリン車に劣る場合があると聞く。またEPT(参照:環境エネルギーの投資回収)にまで目を向ければ、その製品の選択が妥当であるのかどうかさえ不透明になる。そもそも環境負荷は指標によって異なり、妥当性の担保は難しい。
さて、私の実家は、子供の服をリサイクル品に拘ってよく探しまわっていた。近隣で購入すれば安くて手間もかからないのにである。実家の母が、モノを捨てられずに、私が住む東京に送ってくる。私が使うかどうか極めて怪しいのにである。いずれもそのプロセスにおける郵送費、移動費などのCO2排出を考えれば、どちらが地球に優しいなんて分かったもんじゃない。ただ最後に「あースッキリした」といいたいがためなのだ。それはサステイナブルに対する使命感ではなく、自己満足に近い衝動で動いている。「イイことした」という自己満足だ。
スヴァンホルムは、自分たちがコミュニティを作る動機について以下のように述べている。
「The basis was formed by common ideals concerning ecology, income-sharing, communal living and, finally, "selvforvaltning". This Danish word is hard to translate to English. It's rooted in modern Danish culture, and is used in the development of educational and management ideas. It represents the idea of stimulating people, pupils, and workers to be more involved in decision-making and feel responsible for the outcome. "Self-government" is the English word we thought would be the closest.」
出展元:SVANHOLM "Why we are together?"
エコ生活、収入の共有、共同生活、そして最後に”自治(Self Government)”であると謳う。しかし、なぜ自分たちで自治をする必要があるのか? 共同体による扶助が必要であれば、それを担うべき地方自治体に問えば良いではないか。同一地域内で自治機能が重層化するのは非効率である。そしてその自治に対する知識の分散化は、他者の不幸でもある。ここには究極の自己満足がみてとれる。
サイト上でも述べられているように、デンマークの文化に”自己決定”と”自己責任”の理念が教育、社会に根付いているのが一つの背景にある。自己決定を満足させるためには、決定した結果が自分に還元されなければならない。自己責任を体現するためには、責任の所在に透明性が担保されなければならない。そのための方法論として、小規模の共同体がありうるわけだ。依って、このコミュニティは、彼らの自己決定と自己責任を体現するための自己満足のフレームなのである。この共同体を選んだ目的としてサステイナブルライフなど耳障りのいいキーワードが述べられるが、実はそれは自己満足のはけぐちの一つなのかもしれない。
究極の自己満足をしよう。それがサステイナブルに繋がるのであれば、極めて合理的ではないか。私にはこちらの方がスッキリするのである。
by isoamu
| 2010-08-08 20:07
| サスティナビリティ