2010年 07月 17日
ハリーポッターの街から
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スコットランドのエディンバラである。この街のザ・エレファント・ハウスというカフェでJ・K・ローリングが「ハリー・ポッターと賢者の石」を書き上げたという。この街を散策すると、きっとこの景観は、ハリポタのインスピレーションになっていたと誰しも感じると思うのである。
ただ一つだけ残念なのが、このウェイヴァリー駅の天井である。折角の中世の町並みの中でここだけが興ざめなのだ。景観協定における最低限の色彩計画、形態意匠などに沿ったものだとは推察するが、きっと造り手の意志の中途半端さがそう感じさせるのだと思うのである。
景観整合という観点では、ロンドン市内の新旧が入り交じった様相はかなり最悪だ。ただ、どれも徹底的に伝統的だったり、徹底的にモダンだったり、徹底的に派手だったり、徹底的に薄っぺらだったりするものだから、これもありだなと妙に納得させられてしまうのである。こういう感覚は、それぞれの建造物に造り手の意志を感じた結果なのだと思うのである。
景観協定というのも難しいものであろう。保存という観点ならば維持すればいいだけだが、新築に対しては、施主の自由裁量の尊厳を踏まえ、最低限のレギュレーションになろう。しかし、この造り手の意志の中途半端さというのは、言わずもがな主観的で基準も決めにくい。公共施設であれば公開審議する場面もあろうが、再計画にまでご破算にするのもこれまた難しかろう。
これはもう造り手の良心に委ねるしかないのである。
それにしても建築家は「設計費、施工費を抑えてくれてありがとう」と施主に喜ばれるのをとるか、「素敵な街だね」と数百年後の観光客に喜ばれるかのをとるか、という二者択一の良心の呵責に苦しむのが宿命なのである。
by isoamu
| 2010-07-17 07:25
| 建築