デンマークの家庭医
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オーデンセ市内にある家庭医に訪問した。一見すると普通の住宅、というか本当に普通の住宅。院内もオフィスと普通のリビングを合わせたようなカジュアルな印象。ドクター自身も白衣は着ずにポロシャツ姿のリラックスした服装で仕事をする。患者受付はCPRカードを読み込ませる(参照:外国人に対しても保証する国)

デンマークでは居住地のコムーネが提示した候補の中から家庭医を選択する必要がある。途中で変更は可能。当然国内には病院、専門医もあるが、歯医者以外は直接そこに行ってはいけないことになっている。どんな症状であれ、まずは家庭医に相談する。事前に電話で予約し待ち時間は15分程度、ここでは問診(バイタルチェック、処方箋等)のみでX線撮影等々の大型医療機器の設置はない。ドクター1名、スタッフ2名で1400人程度の住民を担当しているという。
家庭医制度のメリットとしては、80%以上の病気がここで完結し、大幅な医療費削減になることだという。また、そもそも風邪ぐらいでは薬は使わず、寝てればいいというのがこちらの流儀。日本だと休みを取りにくいといった理由で薬をほしがるケースもあるが、こちらで調子が悪い時はきちんと休めることがその背景なのかもしれない。因にこちらには総合感冒薬というものがない。熱、咳、鼻づまりなど特定の症状毎に薬を選択するのだが、これも自己決定の精神の一つなのか(^_^; またその家庭を世代を越えて診ていることも多く、その家庭の実状(アレルギー、経済状況等)に応じた診療ができるという点もメリットだとしている。
デメリットとしては、症状が重い場合だろう。レントゲンでさえ他の病院に行かなければならないわけで、家庭医、検査予約、検査、結果待ち、入院の期間の中で症状が悪化することもありうるだろう(以下※参照)日本にもかかりつけ医制度があるが、患者の医療選択の自由、重症状の時のリスクからかなかなか進行しない。リスクを取りたがらない日本人には、なかなか受け入れがたい制度だが、医療費高騰は周知の事実。まずは義務化してから調整していけばいいと思うが、皆さんはどうだろうか。
※「後期高齢者医療制度をつくるときには、主治医制度すなわちかかりつけ医をつくって、そこをワンクッションとして、次の段階に行くときには必ず主治医を通す 〜中略〜 今の東京の小規模のかかりつけ医は、そこへ行ったら先生はいらっしゃいますけれども、血液検査の設備もございません。そこで少し様子を見ましょうと言って帰されて、翌日では、血液検査のできる少し大きい病院へ紹介しましょうかと、その結果が出るのに、1日か2日待たされて、それからまた先に、大病院でCTか何を撮っていたら、私は大抵その間に死んでしまって、今、ここにはいられないと思います。」
引用元:10/01/12 第2回高齢者医療制度改革会議議事録
参考
・各国のかかりつけ医制度について
・後期高齢者の「かかりつけ医」が増えれば、やっぱり医療崩壊が進む、と言って見るテスト
・かかりつけ医とは
・かかりつけ医について