2010年 05月 10日
引け目を感じないアクセシビリティ
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これだけシンプルな構造の地下鉄も他にはないだろう。コペンの地下鉄の入り口はこの透明ガラスで囲われたエレベーターが目印だ。階段とエスカレーターはそのエレベーターの周囲に配される。大多数の地下鉄のエントリーはエレベーターと階段が別々のところにあるものだが、これならば車イスを使っている友人と別々にならなくてすむ。地上でエレベーターに乗るとストンとストレートにホームまで落とされる。エスカレーターも”行って帰る(ジグザグ)”だけの極めてシンプルな動線で下に降ろされる。建築設計の主たる目的が、安全でスムーズな乗降とのことだが、その狙いは完全に成功している。そもそもこの国には改札がないのだが、それもこのシンプルな構造たらしめている一因だろう。
地上から地下まで一気に吹き抜けにして、天井(地上)からはきっちり採光を取り入れる。これだけ明るく開放感のある地下空間も珍しい。中段から天井に向けスポットをあてているのだが、アルミで覆われたエスカレーターと壁に乱反射してモダンな雰囲気を醸し出している。

ホームと電車は完全にフラットで車イスユーザーが一人でも乗降できる。上写真は電動車イスユーザーだが、普段電車に乗る機会がないから是非乗りたかったともらす。確かに電動車イスは担ぐわけにもいかないから、段差は命取りだ。ホームには自動扉もあり、目の見えない友人もレール内に落ちることもないだろう(ただし外界にあるホームには扉が無いのだが) 座るのではなく、ちょっと腰掛けるイス(上写真右下)も可愛らしい。
Kongens Nytorv Stationは、採光を取り入れる部分をピラミッド型のガラスケースにして、ストリートファニチャーとしての機能をも実現している。アクセシビリティと美しさが両立した好事例。
by isoamu
| 2010-05-10 03:12
| 建築