2010年 05月 03日
自由
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目を爛々とさせて日本のタバコを見定める学生たち。デンマークの喫煙率は24%(Lonely planet Denmark 2008)程度だが、実感レベルでは2/3以上が吸っているような印象をうける。
しかし医療費の高騰、受動喫煙者への影響を背景に、2008年から喫煙最低年齢が16歳から18歳に引き上げられ(そもそも今まで16歳!?)、禁煙スペースも大幅に拡大された。それに対しデンマークを代表する人気シンガーがタバコ規制に対する反対運動をおこしたようだが、私にはデンマーク人の”自由”に対する強い意識の表れのようにも感じる。というのも、こちらではことある毎に”自由”というキーワードを持ち出すからだ。
「受動喫煙に対しては考慮されてしかるべきだが、健康に害があるのは何もタバコだけではない。タバコという嗜好品を楽しむという”自由”がなぜ規制を受けなければならないのか」デンマークの自殺率の高さ(※)について聞くと「僕らには自殺できる”自由”があるんだよ」という。本校に新規導入するPCにはWindowsではなくリナックスを入れるそうだが「マイクロソフトの呪縛から”自由”になりたい」のだそうだ。因に教官同士の共用データもマイクロソフトのオフィスではなくて、オープンオフィスを使っている。コペンにある自治区「クリスチャニア」は”自由”を志向するが、それを支持するデンマーク人は多い。この国民の支持を一つの背景に、デンマーク政府はクリスチャニアによる自治を認めたという。しかも、今やコペン観光の目玉になりつつあるというおまけ付だ。
さて自分自身が自由であるためには、周囲の自由も尊重する必要がある。例えば、他人からみれば妥当ではない判断や意思決定があったとしても、本人が本当に自分の意志でその判断を下したのであれば、周りが兎や角いう必要はない。そうし合ってこそ自分自身の自由が確保される。「へー○○したいんだ。いいじゃん、おもしろそう!」でおしまい。
デンマーク福祉政策、また本校のフィロソフィーでもある「自己決定」も、自らの意志が、周りに惑わされず”自由”でなければ、本当の「自己決定」とはいえないだろう。そして「あなたはどう思うの?」「あなたはどうしたいの?」という問いかけを受けることが多いが、自分の意志、意見を持つことが「自己決定」をする上で最低限要求されることでもあるわけだ。
そして、自分が幸せであるかどうかは、自分自身の尺度(自己決定)でしか図り得ない。であるならば、その尺度をしっかりと持ち得る自己決定のために、自分の意志は常に自由にしておくべきだ。
※デンマークの自殺率・・・実は日本の方が高い(日本:23.7人/10万人で世界9位、デンマーク:13.6人/26位)
by isoamu
| 2010-05-03 01:12
| デンマーク