バスヴェア教会
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まさか”教会”とは思わなかった。Google Mapで確認するも、それらしき建物はあるがこの素っ気なさだ。コンクリート板によるパネル構造で徹底したコストダウンが図られたファサードは、到底教会とは思えない。しかし中にはいると、天井高はさほどでもないが、自然光があてられた優雅な天井曲面が祭壇に緩やかな影を落とし、荘厳さに加え親しみやすさをも醸し出す。設計したのはオペラハウスを手掛けたヨーン・ウツソンだが、雲からインスパイアされたというこの曲面はパイプオルガンの反響をも考慮して設計されている。




自然光の活用は祭壇内に留まらず、教会内の全ての廊下にも自然光があてられる。教会内に一歩入ると心地よい明るさに出迎えられる。デンマークは本当にトップライトが好きな国柄だ。白木とアルミの素材感も、さほど簡素さを感じることなくモダンな印象を与えている。コストを抑えるためか祭壇及び椅子は全てモジュール化されたパーツで構成されているが、安っぽさよりむしろ温かみを感じる。この教会はコミュニティセンターとしての機能も有しているようだが、廊下にはいくつかの絵が飾られ、キッチンもある。コンサートも行われるようだ。堅苦しい旧来の教会より、より現代人にあったものとして、この教会は納得がいく。デンマークの実利主義を反映しつつも、温かみあるモダンさを持つ。数多ある教会にありがちな荘厳さを無闇に追いかけると逆に安っぽくなるが、コスト配分の巧みさが、この教会を唯一無二の存在たらしめている。
次稿では、その対極。
教会HP Bagsværd Kikken