2010年 05月 01日
嚥下
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先月、姉が本校に訪問した。校内見学と一部授業にも参加した後の昼休み「今、ヘルパーが食事介助しているから見てみれば?」と誘ったら「参考にならないから」という。
理学療法士である姉は、福祉施設で働くスタッフに食事介助を教える立場にあるという。さらに彼女が介助技術を習った先生は欧州で講演をするほどの方なのだそうで(^_^; 食事介助は単に食事を口の中に入れるだけでは駄目で、軽く舌を押してあげるようにして入れてあげないと、うまく嚥下出来ないのだそうだ。人が嚥下する時は、一度、少し食事を元に戻してから飲み込むそうなのだが、その動作をきちんとサポートしてあげないと、入れられた食事を吐き出したし、中にはむせてしまう場合もあるという。
彼女が介助する利用者の中には「磯村さんに飲ませてもらうビールが一番うまいよ」という方もいるようで、それだけ介助の仕方一つで食事自体の楽しみ(美味しく感じる)も変わってくるという。吐き出す、または、むせるなどの苦しい思いをしてしまうと、仕舞には食事自体を拒否するようになってしまう。
本校は学生による介助でもある故、介助技術の低さは否めないだろう。ただヘルパーという仕事を学生にまで広げることで、介助サービスが広く行き渡るという利点もあるはずだ。ある日本の介護福祉士によると欧州の介護は機器に頼る傾向があるという。日本と比べ、介助を提供する側の労働環境(身体的、精神的負担)に対して大きな問題意識を持っているからだ。日本の場合、機器を使うことに対する拒否反応(人間的な扱いじゃない)が多少なりともある。結果、人的(介護福祉士、ホームヘルパー)対応が多くなり、これが介助技術の向上に繋がるのかもしれない(ディティールフィニッシュを気にする日本人の資質にあっている)そして皮肉にも、おそらく、介助を担う人材育成にコストが嵩んでくる、と同時にサービス提供が限定的になる。
広く介助を提供することと、高度なサービスを提供することとの両立、継続的な課題ですね。
by isoamu
| 2010-05-01 07:54
| 福祉