GOZOの障がい者施設
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GOZOにある障がい者施設を訪問した。まずは、重度障がい者を対象としたデイケアセンター。「施設ではなく”ホーム”でありたい」と力説する代表者の想いを反映し、周囲の環境に似たファサードを持つ建物になっている(上写真:日本の感覚だと”施設っぽい”が、こちらでは確かに周囲の住宅に合っている)そして「福祉先進国であるデンマークから訪問者を招くのを誇りに思う」との歓迎の言葉。施設内には数々の作業スペース(下写真)が用意されている。裁縫、編み物、工作など、仲間と談笑しながら作業をする。


ユニークなのは、Sensorium Roomと呼ばれるリラクゼーションルーム(上写真 左上)だ。以前にも聞いたことがあるが、ある自閉症の子供は、ディスニーランドのエレクトリカルパレードを見ると落ち着くという。なぜなら、昼間は様々な視覚情報に溢れるが、夜であれば視覚情報は限定される。エレクトリカルパレードは、ひらめく光だけに集中できて落ちつくのだという。このSensorium Roomは利用者の様々な感覚を刺激しすべく、真っ暗な空間の中に、音楽とスポット照明、そして様々な形のクッション、プラスチックのボールで埋められた桶などが用意されている。施設内では、利用者が制作した商品の販売もされていた。

次は、幼稚園と併設されている養護学校だ。この施設にもSensorium Roomがあるが、こうした特定の機能を持った全ての部屋にはスポンサーのプレートが掲げられていた。イギリスの銀行のようだが、そもそもここは、イギリス統治下であったことからマルタ語と英語を使い分けるバイリンガルだ。イギリスからのバカンス客も多いというが、こうしたイギリスとの親交が深いことが大きく影響しているのではいか(担当教官談)。宿泊している施設もそうだが、障がい者を受け入れている施設の殆どは企業から多くの設備を寄付されているように感じる。国からの補助が多いデンマークには、なかなかない事例だろう。自閉症の子供向だと思うのだが、簡単なシミュレーションゲームを自作していた。専用の大きなボタンで操作するもの、タッチパネルで操作するものなどを障がいに応じて使い分けている。

養護学校内には、Diversityを掲げた絵が飾られている。どの国の子供もかわいい。


訪問先はいずれも様々な取り組みがされている高いレベルの施設だったように思う。しかし、デンマーク人にとって(私も含め)Sensorium Roomは別として、私たちの国の施設と格段大きな違いは感じられなかった。というかそれが逆に驚きだった。