2010年 03月 10日
IN-HOUSE OUT
|
最近はなかなかお手伝いできていないのだけれども、IN-HOUSE OUTは仲間たちと一緒に進めている活動です。企業に所属するデザイナー(インハウスデザイナー)が中心となって、企業の営利活動のためではなく、広く社会のためにデザインを活かそうとしています。(結局、僕は退社してしまったけれども・・・)
少しカミングアウトします。環境・福祉などに対する社会性は持つべきだけど、それらをとても表面的にしか捉えてないんじゃないかと思うときがあります。というのは企業活動自体も社会的な活動に他ならないから。本来はその枠組みの中でこそ解決すべき事由で、ひょっとしたら僕は問題のすり替えをしているに過ぎないかもしれない。
MBAもどきを体験したためか、事業戦略よろしくSWOT分析で、個人的な活動についても周辺環境を基点に考えている節がある。確かに客観情報を積み上げれば、他者への説明はしやすい。今までそれを良しとしていたけれども、改めて振り返ってみると、それは本当に自分の本来の思考なのかと思う時があります。
話は変わるけど、僕の幼い頃に母親から「難しいことを分かりやすく伝えられるのが、本当に頭のいい人。話が分からないのは、話している人が悪いの」と言われたのをなぜかよく覚えていて、普段から自分自身の思考より、相手の反応を意識していたように思います。講演でも、分かりやすい答えを予め用意するようにしているし、問いかけだけで終わるのは、気持ち悪くてしょうがない。西村さんのエッセイにもあるのだけれども、”すぐに解決したい”というのが聴衆の主な欲求で、それに迎合していたんじゃないかと。
”わかりやすくする”こと自体は、他者と共感・共有するために必要なことだけれども、危険なのは、そうそう簡単に結論なんて出ないものに対しても、分かりやすいことばで構築して、さも分かったふうになってしまうということ。これを繰り返すと、分からないことに対して拒絶反応が出てくる。世の中なんて説明できないことばかりなのに。
たまたまこの学校の対話テーマだった"How would you describe the good life?"がどこか心に残っている。自分の"the good life"なんで他人に推し量れるものではないから、とすれば、まずは自分自身に"the good life"を量れるメジャーが欲しい。おそらく、それが分かった時点でもう"the good life"はほぼ達成できたんじゃないかとも思うんだけれども、あとはいろんな周辺環境・制約の中で、それを本当に進められるかどうか。ただこれ、また変わるかもしれません(^_^; 同級生がいいこといいます「こうした問いかけは、タマネギみたいなもので、一皮むけたらまた新しい皮が出てくるもの。答えがあるものじゃない」
今は、自分の心に耳を傾けるようにしています。分からないことを、分かりやすく解釈しようとせず、考え続ける状態にしておこうと思っています。そして、こうした私的な問いかけが、実は社会全体を捉えようとしているIN-HOUSE OUTの活動にも繋がるのだと思っています。
3月13日(土)桑沢デザイン研究所にて、寺澤さんを中心としたIN-HOUSE OUTメンバーとNPO法人 Monkey Magicとで『サステナブルデザイン国際会議 × PechaKucha』に活動内容を紹介する予定です。もう既に申し込みは閉め切られているみたい。案内が遅くてすみません。
関連エントリー
・原田知世、生きるを伝える(デザイン思考 石垣さん)
・インハウスデザイナーのロールモデル
・Social Design 〜デザイナーの倫理観〜
・バリューフリー
by isoamu
| 2010-03-10 04:40
| デザイン全般