2010年 02月 19日
実直な福祉用具デザイン
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Manufactured by UROX
尿漏れがあるとしても誰しもオムツには抵抗があるもの。これはチューブをつたって、膨ら脛周辺に固定するタンクに尿を溜めるというもの。通常のアンダーウェアが使えるし、尿の廃棄も足下から楽に行えるという。同行した教官は「デンマークのヘルスケア商品は、まだまだデザインされていない。機能一辺倒で、日本の方が進んでいるのではないか」という。確かにこちらの多くの福祉用具は無骨で黒色が多いが、私には日本のものより好ましく感じる。

(上写真は日本製)
日本は超高齢化を背景に、福祉用具にもデザインに対する問題意識が広がってきているように思う。例えば、身体に装着するものは、極力目立たないよう肌色にしたり、またやさしい印象を与えるためパステル系のカラーが採用されたりしている。しかし、いろいろ慮っているようには思うが、そもそも”哀れむべきもの”との意識が見え隠れして、逆に厚かましく感じてしまわないか。そのやさしさが、時には大きなお世話とも感じるときがあるように思う。
こちらでは、福祉機器はあくまで福祉機器であり、必要とするユーザーに必要なものをただ実直に提供しているように思う。確かに機能一辺倒に感じる面もあるが、あくまで道具に徹したデザインは、何ら後ろめたさを感じない好ましいデザインになる。日本は幾分作り手の意識が先行した”同情的デザイン”に陥っていないだろうか。
by isoamu
| 2010-02-19 08:35
| デンマーク