2009年 11月 05日
パラダイムシフト
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【パラダイムシフト(paradigm shift)】
その時代や分野において当然のことと考えられていた認識(パラダイム)が革命的かつ非連続的に変化(シフト)することを言う。

出典元:待庵-光の空間
千利休の茶室「待庵(たいあん)」の室内の壁は黒ずんだ荒壁仕上げになっている(上写真は黒色が剥がれた状態)そして、室内の隅は土で柱を塗りまわした「室床(むろどこ)」にしてある。隅に柱が存在すると立方体の空間認知がおこるが、柱の存在が消し去られた室床は、空間に広がりを感じるという。
黒壁と室床による薄暗い空間は、わずか二畳半であるにも関わらず、意識下において無限大の空間になりうる。ヨーロッパの寺院のカテドラルは天に届けとばかりに天井が高いが、こうした物理的空間を志向するヨーロッパ対し、千利休は人間の感性による非物質的空間を志向した。人の想像力と同じように、非物質的空間は無限に広がる。空間認知のパラダイムシフトが図られたわけだ。
唐物が美しいとされている時代に、千利休は黒色の歪な形の茶器「黒茶碗」を美しいとした。見立ての精神とも言われているが、それ以降、茶の湯においての美しさが変わったという。それが地域の伝統工芸・伝統産業の活性化にも繋がった。審美感のパラダイムシフトだったわけだ。
無印良品の設立当初、田中一光は「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を拡めることができれば少ない資源で生活を豊かにする事ができる」と無印への思いを語ったという。過度な装飾に対する価値観のパラダイムシフトを意図していた。
深澤直人とジャスパーモリスンが行っているSuperNormalも、日常生活にある何でもないものを美しいと再定義し、ナガオカケンメイのD&Departmentも、ディスコン寸前の製品をロングライフデザインとして意味あるものに再定義する。少し前に戻れば、柳宗悦の民芸活動も日用品に美を見出す運動だ。いずれも日常の中に新たな解釈の視座を与えるなどパラダイムシフトを志向している。
”人々に受けいられる美”を作り出すのも、クリエーターの役目だが、”人々が受け入れるべき美が何であるか”を明言するのもクリエーターの役目だ。人々の価値観をも左右することを踏まえ、正しい倫理感をもって、クリエイティブを追求していきたい。
その時代や分野において当然のことと考えられていた認識(パラダイム)が革命的かつ非連続的に変化(シフト)することを言う。

出典元:待庵-光の空間
千利休の茶室「待庵(たいあん)」の室内の壁は黒ずんだ荒壁仕上げになっている(上写真は黒色が剥がれた状態)そして、室内の隅は土で柱を塗りまわした「室床(むろどこ)」にしてある。隅に柱が存在すると立方体の空間認知がおこるが、柱の存在が消し去られた室床は、空間に広がりを感じるという。
黒壁と室床による薄暗い空間は、わずか二畳半であるにも関わらず、意識下において無限大の空間になりうる。ヨーロッパの寺院のカテドラルは天に届けとばかりに天井が高いが、こうした物理的空間を志向するヨーロッパ対し、千利休は人間の感性による非物質的空間を志向した。人の想像力と同じように、非物質的空間は無限に広がる。空間認知のパラダイムシフトが図られたわけだ。
唐物が美しいとされている時代に、千利休は黒色の歪な形の茶器「黒茶碗」を美しいとした。見立ての精神とも言われているが、それ以降、茶の湯においての美しさが変わったという。それが地域の伝統工芸・伝統産業の活性化にも繋がった。審美感のパラダイムシフトだったわけだ。
無印良品の設立当初、田中一光は「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を拡めることができれば少ない資源で生活を豊かにする事ができる」と無印への思いを語ったという。過度な装飾に対する価値観のパラダイムシフトを意図していた。
深澤直人とジャスパーモリスンが行っているSuperNormalも、日常生活にある何でもないものを美しいと再定義し、ナガオカケンメイのD&Departmentも、ディスコン寸前の製品をロングライフデザインとして意味あるものに再定義する。少し前に戻れば、柳宗悦の民芸活動も日用品に美を見出す運動だ。いずれも日常の中に新たな解釈の視座を与えるなどパラダイムシフトを志向している。
”人々に受けいられる美”を作り出すのも、クリエーターの役目だが、”人々が受け入れるべき美が何であるか”を明言するのもクリエーターの役目だ。人々の価値観をも左右することを踏まえ、正しい倫理感をもって、クリエイティブを追求していきたい。
by isoamu
| 2009-11-05 21:12
| デザイン全般