2009年 11月 02日
できればポックリ
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誰しも周囲の手を煩わせる事なくポックリといきたい所だが、現実はそう甘くはない。先月行われたシンポジウムで前東大総長の小宮山氏は、高齢者の調査結果を元にそう語る。
健康維持したまま死をむかえるのは男性で11%(上写真)、女性は0%(下写真)だという。あとは徐々に体力を落とし、且つ疾病が重層化して死を迎えるが、終末期までいかに健康を維持出来るかどうかは本人、家族にとって、そして福祉費抑制の観点でも大きな課題だ。
厚労省は2005年に介護保険制度の一部改正を行い「予防重視型システム」として生活機能の維持・向上を積極的に目指そうという考え方を示した。介護状態になってから対応するのではなく、そうならないために施策をうっていくという。私の知人にも高齢者にトレーニング指導をしている方がいるが、今では多くの自治体でトレーニングの指導とジムの無料開放等を行っている。
こうした予防の観点は住環境にも広がっている。国の試算によれば全国の高齢者住宅を8兆円をかけて改修を行えば、16兆円もの福祉費を削減できるという。適切に改修を行えば、施設に入る事なく自宅でそのまま住み続けられる可能性が高くなるというのだ。介護保険制度にも住宅改修(上限20万)の補助があるが、あくまで介護保険認定が条件(状態が悪くなってようやく認められる)で予防効果は期待出来ない。
私がお世話になっている起業コンサルは50歳代に800万円程の自宅改修を行ったという。特にこの年代は介護が現実味を帯び、そして退職金を充当出来ることから住宅投資に前向きになるという。大きなビジネスチャンスがあるのではないか。
できればポックリ逝くためにも、少なくとも住環境は整えリスクを軽減するのが懸命だ。そのための住宅はどうあるべきか、座学と同時に、具体的事例での研究を進めたいと考えている。来年留学するデンマークにもこうした視点で施設・住宅を視察をしてくる予定だ。
by isoamu
| 2009-11-02 22:17
| 福祉