意義 2
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確かに理想ではあるのですが、私は 「これを目指すプロセス」自体に価値があるのではと思っています。
私は、聴覚障がいの方にも分かる様に全てのスライドに説明文をつけたのですが、「文章が長く、読むのがついていけない」「説明は十分にされているのだが、話の抑揚(講演者が強調したい所)を知りたい」等の意見を頂きました。そこで挿入する説明文は十分に要約して短いものに、更に、強調したい所は「大きい文字」かつ「太いフォント」にして、逆にあまり強調したくない所は「小さい文字」かつ「細いフォント」にするなどして、話の抑揚が伝わる様にしました。
すると、聴覚障がいの方はもとより、健常者の方からも「非常に分かり易くなった」更には「楽しく聞けた」との意見を頂きました。
また 私は「スライドに説明文さえつけておけば十分」だと思っていたのですが、聴覚障がいの方にとっては、講演者の「口の動き」「体の動き」「表情」も重要な情報のようで、私は自分の「口」「体」「表情」をしっかり見せる為、パソコンの前に座って説明するのではなく、「スライド投影面」の「横」に立ち、説明するようにしました。 (立った状態で スライドを切り替える為にワイヤレスマウスを使いました)
すると、障がい者、健常者含め 皆さんから「熱意を持って講演をしているようで好印象だった」との意見を頂きました。
また、私が通常話しているスピードでは、視覚障がいの方にとっては「話が早すぎて、理解がついていけない」との事で、ゆっくり、滑舌よく、話す様にしました。
すると、障がい者、健常者含め 皆さんから「分かり易く、どんどん話にのめり込む事が出来た」との意見を頂きました。
私自身、実はそれなりに普段の仕事におけるプレゼンテーションには自信があったのですが、こうした「障がい者に対する配慮」を考えるプロセスを通じて、改めて「より良いプレゼンテーションとは? を考えさせられた」と感じました。
結果的に、こうして何度か修正した私のプレゼンテーションは「今まで聞いたプレゼンテーションの中で一番面白かった」「もっと聞きたい」「すばらしい」などなど とても嬉しい感想を沢山頂く事が出来ました。
前述の「ユニバーサルプレゼンテーション」は確かに理想型であって、現実的なものではないかもしれませんが、こうした「ユニバーサルプレゼンテーション」を目指すプロセス自体が、数多くの発見と再認識を誘発し、プレゼンテーションの質を向上させるのでは? と思うにいたったのです。
次投稿にて