過度なサービス
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山口県にあるデイサービスセンター「夢のみずうみ村」では、殆どの廊下やトイレに手すりがないという。建物内は階段や坂道といったバリアが点在する。「人生の現役養成道場」と称し、バリアが残る一般家庭の住宅設備にあえて挑戦させる。しかし軽度の方のみを受け入れている分けではない。要介護5の高齢者まで受け入れ、利用者の約9割が要介護度の維持・改善が見られるのだという。
諸外国と比べると日本人は木目細かなサービスを得意とする。それが製品・サービスの品質を高いレベルに押し上げる。しかし過度になっている面も否めない。丁寧にニーズを拾い、逐一課題を潰す先には、作り手の慮った配慮に結局ユーザーがついていっていない面もあるのではないか。
IAUDの住空間プロジェクトでは「UDプラス」と称し、住空間を全てフラットにするのではなく、逆に段差によって身体機能が高まる効果に着目し、快感・達成感が得られる住空間のあるべき姿を模索する。バリアという「-(マイナス)」を「0」に、更に快感・達成感という「+(プラス)」にまで住空間を転じようとしているが、「-(マイナス)」と「+(プラス)」のバランスをどこで取るかの匙加減が実際的のように思う。
さて、ようやく日本も盲目な改善思考から抜け出す兆しが見え始めたということか。あんずるより生むが易し、でいきたいものです。