30歳以上には聴こえない音
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「モスキートーン」という30歳以上には聞こえないという周波数帯の音域がある。一部の欧米では「先生に聴かれないですむ着信音」としてティーンエイジャーの中で流行っているとかいないとか。
たまたま目の見えない友人が、30歳以上の全盲の友人に聞かせてみるとしっかりと聞き取ったという。「やはり聴覚能力が高いのでは?」というと「これしかないから頑張って聴いているだけ。特別能力が高いわけではない」と諭される。
ただ「この人、本当は見えてるんじゃないの?」とドキッとすることがある。歩行介助のため腕に掴まってもらうと「結構、痩せた?」ハイ、痩せました。一緒に信号待ちしていると「あれってラーメン屋?」と道を挟んで営業している屋台のラーメン屋を言い当てる。「今日は元気ないんじゃない?」と相手の話し方で感じ取る。
日常生活は視覚情報に溢れていて、つい気づかないのだろうけども、聴覚・嗅覚にはもっと多種多様で豊かな情報が埋め込まれているはず。きっとそれを全部素通りしちゃっているんだろうな。
今度、服をコーディネートして欲しいという。自分では選べないから、いつも友人に一揃え選んでもらっているのだそうだ。どんなカッコしても自分では分からないから、相手を信用するしかない。先天性だから、そもそもカッコいい服装というのは概念でしか理解できない。ついつい劇的ビフォーアフターみたいに、髪型から大変身させちゃおうってカミさんと悪のりする。大丈夫、信用して。