障害者問題を扱う意義
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盲ろう者とノーマライゼーション P276
『在宅の障害者に必要な介助を保障することや、働く障害者の労働環境を「ヒューマン・アシスタント制度」等の充実を通して整備していく取り組みは、在宅の寝たきり老人の問題、女性労働者の産時・育児休暇の問題、さらには国民全体の労働の質、といった問題への取り組みと多くの共通性を持っていると思われる。』
同上 P284
障がいをお持ちの方には大変なご苦労があることは言うまでもないが、特性・個性(障害)によって、様々な課題が顕在化する。
『障害者に対する差別の問題は、たとえば在日外国人やアイヌ、部落の人々への差別、そして女性に対する差別と同根である。また「能力の優劣」の問題は、個人の能力(差)が、学校教育や企業活動において、個人の全人格的価値の評価に連動しかねないという現代社会の構造と密接に関係している。』
同上 P276
少々の誇張は否めないが、まあ大きな論旨は賛同できる。
『障害をもちつつ、「新しい幸福観」、「新しい人間観」を模索して日々苦闘する障害者の生きざまは、障害者、健常者の別を超え、すべての人間にとっての「人生の豊かさ」を考える上で示唆的であろう。このように、障害者をめぐる問題は他の領域の社会問題と密接かつ複雑に結びついており、そこには、有形・無形の「相互作用」が生じていると思われる。』
同上 P277
なかなかの良著でした。