ネットの混沌
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ただ編集方針として展開できる個人情報は、潜在的であることがほとんどだろう。とすると次なる思考は、この潜在的ニーズをいかに抽出するか、例えばユーザーの無意識下での行動からそのニーズを探るというアプローチが遡上にあがる。アマゾンのクリック・注文履歴からオススメをするのがその最たるものだが、またそれはGPS、ICチップ、角速度センサー、顔/物検出・認識などの技術革新に伴いアプローチは広がっていく。
それにしても、認知限界を超えた情報を編集するために、また情報が必要になるという、なんとも皮肉な現象ではないか。更に、編集のための個人情報は、プライバシーの観点から、それを保護する思考が台頭してくるだろう。勝手に顔を認識されるのはプライバシーを侵害している、Googleのストリートビューなどもこれが顕在化した一事例のように思うが、これからは顔認識を勝手にされないマナーモード、電源OFFエリアなるのもが出てくるかもしれない。
こうした個人情報取得とそれに応じた自動編集するという思考は、プライバシー保護の観点だけでなく、我々自身の能力の衰退にも関わる。そもそも情報を編集するという行為は、自らこうしたいという意思があってこそ適切にされるもので、この人間の極めて根幹をなす機能を外在化してしまっていいのだろうか。現在でさえネット検索結果が自分の思考と同等のものだとしてしまう思考の外在化が起こっている状況下で、「あなたの欲しい情報はこれでしょ?」を鵜呑みにするのは、それを益々助長してしまうことに繋がらないか。
ネットのこれからは、目先の利便性だけでなく、こうしたこともあわせて考えていきたい。